配賦係数がマイナスの場合の扱い方(売上高配賦)
配賦計算に於いて、配賦係数がマイナスになる場合があります。配賦計算の基本的な式は
(収支管理単位への配賦額)=(配賦元金額全体)*((収支管理単位の配賦係数)/(配賦係数の集計値))
ですから、この中の「収支管理単位の配賦係数」がマイナスになると、それをそのまま式に当てはめれば収支管理単位への配賦額はマイナスになります(「配賦元金額全体」と「配賦係数の集計値」は通常は正の値ですから。)。しかし、それは適切なのでしょうか。配賦係数毎にその妥当性を見ていきましょう。
売上高配賦の場合
売上高配賦の配賦係数がマイナスになっている場合、それはその収支管理単位の売上がマイナスになっているという事になります。そのようなことはあり得るのかというと、財務会計上は大いにあり得ます。どんな場合かというと、代表的なものは売り上げた商品の返品です。売り上げた商品が返品された場合は、売上の取り消しということで、売り上げた時の逆仕訳を切るのです。その逆仕訳が、売り上げた月よりも後の月に切られると、マイナスの売上が立ちます。
<売った時の仕訳>
2011/12/03 預金 100円 / 売上 100円
<返品された時の仕訳(売り上げた時の逆仕訳)>
2012/01/12 売上 100円 / 預金 100円
このマイナスの売上が管理会計システムに流れてくると、配賦係数がマイナスになります。この場合、どう処理するべきでしょうか。
基本的には、収支管理単位毎の売上は常に正の値であるはずです。多少の返品があったとしても、通常であればそれを上回る売上があるはずですね。それがマイナスになってしまうという事は、その収支管理単位の販売活動が停止していることが考えられます。例えば、店舗の閉店後に返品があった場合などです。
売上高配賦のコンセプトは「大きい商売をやっているところに費用をたくさん負担してもらう」という考え方です。販売活動が停止している場合、そもそも商売を停止しているのですから、配賦対象としないべきでしょう。ということで、「配賦係数がマイナスであった場合、その配賦係数はゼロとみなして配賦計算をする」というロジックが適切だと考えられます。
売上高配賦以外の配賦係数がマイナスである場合については、次の記事から考えていきましょう。