「管理会計」の範囲の実例
新たに管理会計システムの担当になった人は、「管理会計ってどんなものなの?何をすればいいの?」って思うことでしょう。きっと、何をすればいいのかよくわからずに戸惑う人も多いと思います。それもそのはず。管理会計とは、「これが管理会計!」っていう決定的な区分けがないんです。なぜなら、管理会計は「なんでもありの会計」だから。
目次
管理会計は、経営者が欲しい帳票を何でも出す会計
管理会計は、基本的に「経営者が欲しい帳票を出す会計」です。その経営者が見たいものは本当に様々で、経営者が「こんな帳票が見たい!」と言ったら、それがその会社にとっての管理会計になります。まさに、管理会計とはなんでもありの会計なのです。
とはいえ、だいたいこんな内容に落ち着くよねっていう「相場感」はあります。それをいくつか紹介しましょう。
PL科目ベース(利益ベース)の管理会計
一番オーソドックスなのは、様々な収支管理単位(「店舗」や「品種」など)ごとの利益を表す帳票を出力するパターンです。上に挙げたような帳票を作成する管理会計。収支管理単位(この場合は店舗)ごとの売上・限界利益・営業利益などを一覧化して、それを上位組織毎に集計して表示します。この表であれば、我孫子店は限界利益の時点で赤字です。これは話にならないので閉店の方向ですね。渋谷店は限界利益は黒字ですが、営業利益で黒字です。ここについては今より売上を拡大して収益化する方向に行くか、それとも閉店するか、判断のしどころです。
そんな感じに見ていくのがPL科目ベースの管理会計です。
生産活動改善のための管理会計
生産活動改善のための「管理会計」もあります。これは「会計」っぽくなくて、実際に「生産システム」の範疇で解決されたりもしますが、その会社が管理会計と呼べばそれは管理会計です(笑)。これは本当に様々です。例えば、左のような工場の工程の稼働状況を表す帳票とか。この表からは工程Bが付加価値が高いのでもっと稼動させたくなりますが、この工程Bの作業時間はもっと増やせるのか?と分析するとか。
資金繰のための管理会計
資金繰のための管理会計。これはハッキリ言って「資金繰表」と呼ぶべきだと思うのですが、営業畑で出てきた社長だと財務諸表を読む能力がなくて、キャッシュの出入りでしか経営分析できない人もいます。そういう場合、銀行からの借入金に関するキャッシュの出入りの表のことを管理会計帳票と呼んだりします。
以上です。
基本的にはPL科目ベースの帳票のことを「管理会計帳票」と呼ぶことが多いですが、このように生産活動系や資金繰系の帳票を「管理会計帳票」と呼んだり、管理会計システムから出力させることになったりします。生産系システムや資金繰系システムの分析機能の充実度によって、不足しているところを管理会計システムが補うというパターンが多いようです。