法人住民税 法人税割の計算例
今回は、法人住民税 法人税割の計算例を書いてみようと思います。
目次
均等割と共に法人住民税をなす税金
法人住民税は、法人税割と均等割とで構成されています。その片方が法人税割です。法人税割は、更に「道府県民税」と「市町村民税」に分かれます。
計算はカンタン、法人税に税率を掛けるだけ!
法人税割の税額の計算はごくカンタンです。法人税の金額に税率を掛けるだけ。その税率は下記の表で決まっています。但し、道府県・市町村ごとにある程度税率を変化させられるようになっています。下記の標準税率が基本ですが、右側の制限税率の税率を上限として、税率の変更が認められています。
標準税率 | 制限税率 (要するに上限税率) |
|
---|---|---|
道府県民税 | 5.0% | 6.0% |
市町村民税 | 12.3% | 14.7% |
但し、内訳がめんどい
法人税割の総額は上記の税率を掛ければいいのでカンタンなのですが、実際に納付するには各道府県・各市町村ごとの税額を算出する必要があります。
法人税割の総額 = 法人税の額 * (上記表の税率)
と算出できるのですが、これはあくまで総額です。各都道府県・各市町村に支払う税額は下記の式で求められます。
A県の道府県民税 = 法人税割の総額 * (期末日におけるA県の従業員数 / 総従業員数)
B市の市町村民税 = 法人税割の総額 * (期末日におけるB市の従業員数 / 総従業員数)
例として、下記のような状況の法人を考えましょう。
- 法人税2000万円
- 事業所所在地:
- 本社:埼玉県さいたま市 従業員100名
- 支社1:埼玉県加須市 従業員20名
- 支社2:大阪府豊中市 従業員60名
すると、法人税割の税額計算は下記のようになります。
※今回は簡単のために全て上記表の標準税率を使用しています。実際には違うところがあります。例えば、埼玉県の法人税割道府県民税の税率は、平成28年明け頃まで5.8%になる場合があります。
-
法人住民税 法人税割
-
道府県民税
-
埼玉県への納付額:
2000万円 * 5% * (埼玉県の従業員数120名 / 総従業員数180名)
= 66.7万円 -
大阪府への納付額:
2000万円 * 5% * (大阪府の従業員数60名 / 総従業員数180名)
= 33.3万円
小計 100万円
-
埼玉県への納付額:
-
市町村民税
-
埼玉県さいたま市への納付額:
2000万円 * 12.3% * (埼玉県さいたま市の従業員数100名 / 総従業員数180名)
= 136.7万円 -
埼玉県加須市への納付額:
2000万円 * 12.3% * (埼玉県加須市の従業員数20名 / 総従業員数180名)
= 27.3万円 -
大阪府豊中市への納付額:
2000万円 * 12.3% * (大阪府豊中市の従業員数60名 / 総従業員数180名)
= 82万円
小計 246万円
-
埼玉県さいたま市への納付額:
総合計 346万円
-
道府県民税
計算は以上です。
大きい?小さい?
上記の通り、法人税2000万円に対して法人税割の額は346万円になりました。これってどうなんでしょう。国税たる法人税が2000万円であるのに対して、地方税たる法人税割の金額が346万円ってのは小さすぎる気がします。この記事で計算したのはあくまでも法人税割のみの金額で、これの他に均等割も発生しますが、とはいえ小売業とかでない限り均等割の金額もたかがしれてます。たぶん、法人税割よりも均等割の額が大きくなる会社は少ないんじゃないでしょうか。
そう考えると、ちょいと国が取り過ぎなんじゃないのって気がしますね。ま、個人的なイメージでしかありませんが。国の舵取りって難しいね。
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