資本割とはなにか
税務で「資本割」という言葉があります。説明してみましょう。
目次
資本金にかかる税金
資本割とは、期末の資本金が1億円以上の法人にかかる税金です。資本金の額を基準にして、0.2%の金額を支払うことになります。資本金がちょうど1億円であれば、資本割は20万円。資本金が2億円であれば40万円ですね。計算としては非常に単純です。
資本金が基準の税金ということで、利益が出ていようといまいと、でかい会社からはたくさん税金を払ってもらうという考え方ですね。
軽減措置あり
なお、資本割には軽減措置があります。下記の通りです。
算入率 | それぞれの部分の 資本割の率 |
|
---|---|---|
1兆円以上の部分 | 0% | 0% |
5000億円~1兆円の部分 | 25% | 0.05% |
1000億円~5000億円の部分 | 50% | 0.1% |
~1000億円の部分 | 100% | 0.2%(つまり標準) |
1000億円までの部分については通常の税率である0.2%がかかりますが、1000億円~5000億円の部分については0.1%、5000億円~1兆円の部分については0.05%、1兆円以上の部分については0%になります。
つまり、例えば資本金3000億円の会社の場合、
1000億円(1000億円までの部分) * 0.2%
+ 2000億円(1000億円~5000億円の部分) * 0.1%
= 4億円
という計算で、資本割としては4億円の税金を支払うことになります。
同様に、資本金1兆円の会社の場合を計算してみましょう。
1000億円(1000億円までの部分) * 0.2%
+ 4000億円(1000億円~5000億円の部分) * 0.1%
+ 5000億円(5000億円~1兆円の部分) * 0.05%
= 8.5億円
という計算で、資本割としては8.5億円の税金を支払うことになります。
持株会社特例
資本割にはもう一つ特例があります。「持株会社特例」です。いわゆる持株会社は事業会社である子会社の株式をたくさん保有しており、会計上のBS残高や資本金は大きくなる傾向があります。しかし、主な仕事はグループ会社全体の大まかな方向性を決めるのみです。持株会社自体としては何か大きな商売をしているわけではありません。そのような会社に、資本金を基準とした税金をかけるのは酷だという考え方のもとに導入されいている特例です(だと思われます)。
「持株会社」の判定の基準は、愛知県のページにはこのように記述されていました。
資本割の課税標準である資本金等の額の算定に当たり、持株会社(発行済株式総数の50%超を保有する子会社の株式の価額が、総資産の額の50%を超える法人)については、当該総資産に占める子会社株式割合に相当する額を課税標準から控除します。
*総資産の額は、総資産の帳簿価額から子会社への貸付金等を差し引いたものとします。
少し例を上げて説明しましょう。親会社の総資産残高が10億円で、資本金は8億円。さらに、親会社は子会社の株式を6億円分持っているとします。そうすると「子会社の株式の価額が総資産の額の50%を超える法人」にあたりますので「持株会社」に該当します。
そしてその場合の資本割の金額は、「当該総資産に占める子会社株式割合に相当する額を課税標準から控除します」と書いてあります。「当該総資産に占める子会社株式割合に相当する額」とは、
資本金8億円 * (子会社株式6億円 / 総資産10億円)
= 8億円 * 0.6
= 4.8億円
です。これを課税標準である資本金から控除できるわけです。そうすると、
資本金8億円 - (上記から)4.8億円 = 3.2億円
となり、3.2億円を課税標準として0.2%の資本割を算出します。金額は64万円ですね。
中小企業なら楽勝
最初の基本はカンタンだったけど、軽減税率と持株会社特例はちょっとめんどくさかったですね。ま、世の大部分の中小企業の場合はどちらにも該当しないことがほとんどだと思いますので、気楽に考えましょう。
外形標準課税関連記事: