リラン(再配賦計算)対応の必要性
管理会計システムにはリラン(過去月分のデータの再配賦計算)がつきものです。会計の締めを開けるときの緊張感の記事でも書きましたが、過去の月に仕訳の間違いが発見されたらその仕訳は修正されなければならず、仕訳が修正されるとなれば按分対象のデータが変わるので、按分結果も変わることになります。
過去1年間分をまとめてリランすることも・・・
しかも、過去月の修正をするのは「前月」の修正だけに限った事ではありません。社内としての年次の締めが終わり、会計士の方々に監査を受ける過程で、期初や期中の月の仕訳の修正を命じられることもあります。会計士さんの仕事はまさに間違った会計処理を正すことにあるので、これは当然と言えば当然です。で、仕訳が修正されれば当然管理会計システムもリランしなければなりません。修正された仕訳が4月の仕訳だったりすると・・・、制度会計システムの締めは一旦4月まで開き、4月の仕訳を修正した上でまた期末の3月までの締めを行います。一旦制度会計システムの一年間の締めが開くと、仕訳が修正される可能性があるわけですから、管理会計システム側も1年分の締めが開いてしまいます(そういう仕様が一般的です)。
管理会計帳票の信頼性を損なわないため、リランせざるを得ない
もちろん、管理会計は「なんでもありの会計」ですから、必ずしも制度会計側と数値が一致しなくても法的には一向に問題ありません。が、実運用上は、正式な損益計算書の金額と管理会計帳票の金額に1円でも食い違いがでると、とたんに管理会計帳票を見る人の印象は悪くなります。「この帳票は間違っているのではないか?」という疑念が生まれ、その疑念に疲れて管理会計帳票を見なくなってしまう事もしばしばです。なので、制度会計システムの締めが開いたら、全ての開いた月に対して管理会計システムの配賦計算もリランすべきです。
しかし、この配賦計算は管理会計システムは処理時間がかかる!で書いた通り、時間がかかります。1ヶ月に1時間かかるなら12時間かかりますし、もし「配賦計算は夜間バッチでしかできない!」というような作りをしていた場合、12日間必要になってしまいます。
また、これも上記引用の管理会計システムは処理時間がかかる!で書いたように、配賦計算結果のデータは莫大なものになります。通常、新規に配賦計算をする時は配賦結果をディスクに書き込むだけで済みますが、リランとなると、一度作成した配賦結果データを削除することになります。数百GBのテーブルに対して、年月を指定してDELETE文をぶん投げるのです。このDELETE文だけでも何時間かかるのかと恐ろしくなります。
このように、制度会計の修正はどうしても発生するものであり、それに引きずられる形で管理会計システムのリランも発生してしまうし、リランには困難が付きまとうのが普通です。リランをするための運用設計も、開発時には忘れないようにして下さい。