変動費と固定費の区分けの実装
限界利益(貢献利益)とは(ド素人向け)という記事の中で、
「変動費」「固定費」という概念について記述しました。
この変動費・固定費の区分けは、勘定科目の名前で判断できるものではない可能性があります。
勘定科目だけでは 変動費・固定費 を判断できない
例えば、印刷に使うコピー用紙は一般に「消耗品費」という勘定科目を使います。
経理部で経理処理に使うコピー用紙は、製品の生産や売上が増えても減っても使う量は基本的に変わりません。
つまり、「固定費」です。
一方、営業部で製品を出荷する際に、出荷管理として紙に色々印刷してダンボール一つ一つに貼っていくような場合、
製品の生産が増えれば増えるほど、このコピー用紙を使う量は増えます。
つまり、「変動費」です。
このように、同じ消耗品費という勘定科目であっても、管理会計としては固定費と変動費を分ける必要があります。
固定費と変動費をどのように入力してもらうか
このような場合、対処方法は二つあります。
1.
まず一つは、財務会計用の勘定科目を、「消耗品費」から「事務用消耗品費」と「製造用消耗品費」のように分けてもらうこと。
そうすると、管理会計システム側では、勘定科目ごとに「これは変動費」「これは固定費」と分別することができます。
しかし、勘定科目の変更は大変な労力が要る可能性があります。
例えば、親会社がいて、連結決算対策のために勘定科目の変更を許されない(又は著しく困難な)場合などです。
また、このやり方だと、変動費と固定費に分ける必要がある勘定科目は全て「事務用」と「製造用」の二つに分裂させることになります。
現実問題としてはかなり難しいでしょう。
2.
もう一つの対処方法として挙げられるのは、
財務会計システム上での仕訳入力の際に、仕訳一つ一つに対して「変動費・固定費フラグ」のようなものを付与してもらう事です。
このやり方であれば、財務会計上の勘定科目体系を変更せずに変動費・固定費の区分けが可能になります。
ただ、これにも短所はあります。
新たにフラグを立てる必要があるため、経理部社員の負担が増えることです。
しかも、経理部社員からすれば仕事が増えるわけで、
「なんで経営企画部が使う管理会計システムのためにこんなフラグを入力しなきゃならないんだ!!(怒)」
という気持ちになってもおかしくありません。
そのため、お客さんの中で社内調整が必要になります。
もし経理部に拒否された場合は、仕方ないので、経営企画部側で、仕訳一つ一つを見て「変動費・固定費フラグ」を入力する、ということになるかもしれません。
また、仕訳入力の際に変動費・固定費フラグを入力するという事は、財務会計システムに対する修正が必要になります。
財務会計システムは多くの場合パッケージ製品を使っていると思うので、この修正に対応できるかどうかベンダーに問い合わせる必要があるでしょう。
(とはいえ、管理会計にはこの区分けは絶対に必要なものなので、
パッケージの財務会計システムでも織り込み済みの製品がほとんどだと思います。)
いずれにしろ、変動費・固定費の区分けは、財務会計では必要のないものです。
つまり、新たに管理会計を行うためには、この 変動費・固定費 の分別の仕事が出てきてしまうわけです。
お客さん内部での軋轢は、多かれ少なかれ発生します。
心しておきましょう。