公明党は軽減税率導入による法人税税収減少の試算を示すべきだ

どうしても言わずにはいられないので書いておく。2015年10月現在、軽減税率について様々な議論がなされている。しかし、私が見る限り、その議論には重要な観点が抜け落ちている。

事業者の対応コストを誰も計算していない?

抜けている点とは、軽減税率施行時に事業者にかかるコストだ。それがどれくらいだと試算しているのか、どこにも書いていない。

軽減税率導入を強く主張しているのは主に公明党である。しかし、公明党のウェブサイトを見る限り、軽減税率導入によってどれくらい事業者側にコストがかかり、法人税の税収減少はどれくらいになるのかの試算がない。
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私は試算してみている。間違いだらけの計算になっているとは思うが、実際に計算して一例として公表しているぶんだけ、私は公明党よりマシだと思う。
軽減税率によるコスト増加を計算してみた

増えるコスト、減る法人税税収

上記の私の計算によれば、消費税軽減税率導入により、いなげやには1億円程度の追加コストがかかる。それにより、法人税の税収は4000万円減るはずである。

いなげやの前期の年間純利益は10億円だったようなので、収めているはずの法人税はザックリ言って4億円だ。4億円の法人税を納めている会社からの税収が4000万円減る。つまり、消費税軽減税率導入により、純粋なコスト計算として、法人税税収は10%減るということだ。

これを法人全体に拡大解釈しよう。とてつもなく乱暴だが、試算しないよりはマシだ。日本の年間法人税額は8兆円であるようだ。だから、軽減税率を導入すると法人税税収が8000億円減る。それに対し、消費税増税による税収増は1%あたり2兆円というのが定説らしいから、8%から10%になったら4兆円の税収増だ。しかし、軽減税率を導入すると、そこから1兆3200億円ぶんの消費税税収が減少するとの試算がある。

素直に消費税を10%にしたら4兆円の税収増になるところを、軽減税率を導入すると、法人税が8000億円減り、消費税税収が1兆3200億円減る。つまり、税収増は4兆円の半分以下の1兆8800億円になってしまう。

しかもこれは、レジの入れ替えコストだけを考えた金額なのだ。他に、莫大な人員教育コストがかかる。軽減税率を導入すると、コスト面だけを考えるだけでも、逆に税収は減ってしまうんではないか。

まあこの文章はサクっと調べて書いただけなので、間違いだらけだろうとは思う。でも、公明党はこの程度の計算すらしていない感じがする。是非ともこの観点を頭に入れつつ、公明党のウェブサイトを見てみてほしい。こういう話がどこにも書いていない。

軽減税率は手間ばかりかかって国民にメリットがない愚策に見える。少なくとも、8%から10%のタイミングで導入するべきじゃないだろう。公明党はしっかり調査&発信して欲しい。

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