財務会計システムから管理会計システムへ流すデータ、流さないデータ
管理会計システム周辺のデータ連動で書いたように、管理会計システムのデータソース(データの連動元)は財務会計システムだけではなく、複数の周辺システムになることが多いです。その場合、財務会計システムから管理会計システムに連動するデータはどれなのかを判断する必要があります。
何を流し、何を流さないか
左の図では、給与システム・固定資産システム・POSシステムから管理会計システムに直接データ連動しています。つまり、これらのシステムから管理会計システムに流れてきたデータの分は、財務会計システムから管理会計システムへは流してはいけないわけです。
給与システムに関して言えば、左の図では社員の給与は管理会計システムに直接連動させると共に、財務会計システムへも手入力しています。つまり、財務会計システムに入った給与の数値が管理会計システムに流れると、給与がダブルカウントになり、整合性がとれません。財務会計システムに手入力した給与は管理会計システムに流してはいけないわけです。ただ、出向者給与等、面倒な問題が絡んできます。給与連動については、次の記事「財務会計から管理会計に流す給与データ、流さない給与データ」で詳しく記述します。
固定資産システムについては、そもそも固定資産システムと財務会計システムとで、償却費の金額が合わせる気が無い前提でシステムを動かしている場合があります。これについても別記事で詳しく記述します。
POSシステムについては、主に売上データを扱っています。POSシステムから管理会計システムへ売上データが直接流れてきているということは、財務会計システムからは売上を流さなくていいか・・・というと、そうもいきません。全ての売り上げがPOSを通るとは限らないからです。小売業でも、例えば店の軒先を焼きイモ屋さんにでも貸して場所代を受け取ったらそれは売上ですが、その売上がPOSを通るかというとかなり怪しいです。他にも、通販事業などをやっていればPOSからこぼれ落ちる売上はたくさんあるでしょう。
流す・流さないはフラグで明示しよう
このように、周辺システムから様々な形で管理会計システムにデータが流れてくるので、財務会計システム上のどのデータを管理会計システムに流すかを判断するのか、は難しいわけです。このロジックを複雑にすると保守性が極めて悪くなりますから、その判断は、システムのユーザと運用者から見て単純明快にわかるようにするべきです。
それには、財務会計システムのデータベース上に、明確な「管理会計に流す仕訳フラグ」を持つと良いでしょう。仕訳データを格納しているテーブルに、それ専用のフラグ用のカラムを持つのです。財務会計システムはパッケージ製品を使っている場合が多いと思うのでそこにフラグを持てるかどうかはその製品によるとは思いますが、仕訳テーブルにフラグを持てなければ、仕訳番号と「管理会計に流すフラグ」を持つテーブルをアドオンする等の対処が必要でしょう。
本当は、財務会計からの連動一本にするほうが楽。でも・・・
もちろん、ここに書いたようにせずに
「何が何でも、管理会計システムのデータソースは財務会計システム一本にするのだ!!」
という思想の下にシステム開発するのも一つの解だとは思います。しかし、その場合は財務会計システムへの仕訳入力が面倒になることが多いです。ユーザのニーズは、
「財務会計システムへは粗く入力したい。管理会計システムでは細かく分析したい。」
という、背反したものである確率が極めて高いです。
大量に切られた仕訳は、会計情報の可読性を損ねます。管理会計システムで必要な細かい粒度で仕訳を切ることは、システム開発で言えばスパゲッティーコードを書くようなものです。ユーザの気持ちを汲み取ってあげることも必要でしょう。