黒字倒産とはどんな状態か

黒字倒産というコトバがあります。最近はよく本とかで出てくるので知ってる人が多いと思いますが、社会人一年生な人はよくわからないはず。説明しましょう。

黒字で倒産する理由

黒字倒産というのは、文字通り黒字で、つまり儲けが出ているのに倒産することです。なんで黒字なのに倒産するんでしょう。

その理由は、現金がないからです。簡単な例を出しましょう。

  • A社は、4月1日に500万円持っていた。
  • 4月10日に商品を700万円分仕入れた。支払いは5月31日の約束にした。
  • 4月20日に、仕入れた商品全てを1000万円で売った。お金の受け取りは6月30日の約束にした。

要するに商品を700万円で仕入れて1000万円で売ったわけです。黒字ですよね。しかし、この状態で5月31日を迎えると、手元には500万円しかないのに、700万円を支払わなければならなくなります。当然、足りませんよね。支払いができないので倒産ということになります。

このA社の資産とかを簡単な表に書くと、こんな感じになります。

A社の資産とかの表(万円)
現金 売掛金
(後で現金を貰える権利)
買掛金
(後で支払う義務のあるお金)
4月1日 500 0 0
4月10日 500 0 700
4月20日 500 1000 700
5月31日 700万円を支払わなきゃならないけど
500万円しかないので倒産!

5月31日の時点で商品の仕入額である700万円を支払わなきゃならないわけですけど、現金は500万円しかないので支払えません。これが黒字倒産です。

「そんなん最初っからわかってんだから700万円分も仕入れるのおかしいじゃんw バカじゃねーのw」とか思うかもしれませんが、黒字倒産の基本はこれだけです。但し、他に様々な状況が絡みます。

例えば、もし銀行から運転資金を5月1日に1000万円借りることができたらこんな感じになります。

A社の資産とかの表(万円)(もし運転資金を借りられたら)
現金 売掛金
(後で現金を貰える権利)
買掛金
(後で支払う義務のあるお金)
借入金
(借金)
 
4月1日 500 0 0 0  
4月10日 500 0 700 0  
4月20日 500 1000 700 0  
5月1日 1500 1000 700 1000 ←借りた
5月31日 800 1000 0 1000 ←切り抜けた
6月30日 1800 0 0 1000  
7月31日 800 0 0 0  

これだと、商品仕入れの支払いもできているし、借金も返せて万事OKですね。元々こんな風に運転資金を借りる目論見があったとすれば、4月10日に商品を700万円分仕入れたこともうなずけるのではないでしょうか。

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資金繰りの難しさ

最初の表のように単純化して考えると、黒字倒産というのは本当にバカみたいな印象を受けます。でも、その次に出した表のようにお金を借り入れる目論見で仕入れたけど銀行が手のひらを返した、という場合もあります。また、そもそも上記のような「後で現金を貰える権利」と「後で支払う義務のあるお金」が数十、数百とあると、資金繰り表の作成はなかなか根気のいる作業になります。単純な話で言えば、Excel上でちょっと式を間違えたせいで現金の予定残高を正確に算出できなかった、なんていうこともありえます。

そんなわけで、黒字倒産というのはバカみたいな話に見えますけど、実務的には色々と対策が大変なのです。

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