配賦計算の実際 初級編
今回は、配賦計算を実際に記事上でやってみようと思います。配賦計算と聞いて、「なんかゴチャゴチャしてて難しそうだよな」と思っている方もいらっしゃると思いますが、配賦計算そのものの考え方は単純明快です。
今回は例として、経理部社員の給料、火災保険料、水道代の配賦について考えます。
目次
配賦係数の元情報の収集
まず、配賦係数を算出するために必要な情報を収集します。経理部社員の給料は売上高配賦、火災保険料は面積配賦、水道代は水道代配賦を行う事を想定して、それぞれの配賦係数の元となる情報を集めます。
売上高 (万円) |
面積 (平方メートル) |
業態 | |
店舗A | 100 | 120 | 飲食 |
店舗B | 200 | 130 | 飲食 |
店舗C | 500 | 100 | 飲食 |
店舗D | 350 | 50 | 飲食 |
店舗E | 600 | 200 | 物販 |
店舗F | 100 | 60 | 物販 |
店舗G | 50 | 70 | 物販 |
配賦係数算出
そして、次は配賦係数を算出します。売上高配賦は売上高の数字をそのまま、面積配賦は面積をそのまま持ってくればいいですね。そして水道代配賦は、物販店舗については配賦係数をゼロにします。
売上高配賦 配賦係数 |
面積配賦 配賦係数 |
水道代配賦 配賦係数 |
|
店舗A | 100 | 120 | 100 |
店舗B | 200 | 130 | 200 |
店舗C | 500 | 100 | 500 |
店舗D | 350 | 50 | 350 |
店舗E | 600 | 200 | 0 |
店舗F | 100 | 60 | 0 |
店舗G | 50 | 70 | 0 |
配賦係数合計 | 1900 | 730 | 1150 |
配賦率の算出
次に、配賦率の算出をします。配賦率は、(各収支管理単位の配賦係数)÷(配賦係数の合計)で求まります。簡単ですね。例えば、店舗Aの売上高配賦の配賦率であれば、
100/1900=0.05263 → 5.263%
という計算です。
売上高配賦 配賦率 |
面積配賦 配賦率 |
水道代配賦 配賦率 |
|
店舗A | 5.263% | 16.438% | 8.696% |
店舗B | 10.526% | 17.808% | 17.391% |
店舗C | 26.316% | 13.699% | 43.478% |
店舗D | 18.421% | 6.849% | 30.435% |
店舗E | 31.579% | 27.397% | 0% |
店舗F | 5.263% | 8.219% | 0% |
店舗G | 2.632% | 9.589% | 0% |
配賦係数合計 | 100% | 100% | 100% |
配賦
で、配賦率を使って実際に配賦を行います。これは、配賦したい金額に対して、配賦率をかけるだけです。経理部社員の給料の店舗への配賦額であれば、
100万円 × 5.263% = 52,630円
です。楽勝ですね。
配賦対象 | 経理部社員の給料 | 火災保険料 | 水道代 |
配賦対象額 | 1000000 | 100000 | 50000 |
売上高配賦 配賦額 |
面積配賦 配賦額 |
水道代配賦 配賦額 |
|
店舗A | 52630 | 16438 | 4348 |
店舗B | 105260 | 17808 | 8695.5 |
店舗C | 263160 | 13699 | 21739 |
店舗D | 184210 | 6849 | 15217.5 |
店舗E | 315790 | 27397 | 0 |
店舗F | 52630 | 8219 | 0 |
店舗G | 26320 | 9589 | 0 |
配賦額合計 | 1000000 | 100000 | 50000 |
以上で配賦計算は終わりです。簡単でしょう?
本当はこんなに簡単な配賦計算が、実際は難しく感じられるのはいくつか原因がありますが、配賦係数が多数あるために、配賦率を求めるための計算ロジックの量が多くなりがち、という事が挙げられます。でも、直接的な計算としてはこんなに簡単なんです。複雑怪奇に見えるロジックも、一つ一つ丁寧に見ていけば、簡単な事しかやっていないはずです。根気よくソースコードを読みましょう。