会計の締めを開けるときの緊張感
管理会計システムの運用にかかわる人にとって、「会計の締めを開ける」ということを何気ないものとして認識している人も多いと思いますが、実は経理の方々にとって、締めを開けるという事は結構な心理的障壁を伴います。簡単に説明しましょう。
「締めを開ける」とは「間違いを認める」こと
まず、制度会計システム(経理)の締めを行う権限、締めを開ける権限は基本的に経理部の偉い人だけに付与されています。平たく言えば経理部長です。そして、一度締めた締めを開けるという事は、要するに過去に入力した仕訳が間違っていて、それを直すために行うのが普通です。つまり、
「私の入力した仕訳が間違ってました!ついては修正したいので、締めを開けて下さい!」
と経理部長にお願いするわけです。偉い人に向かって自分のミスを伝えて修正させてもらうのですから、ヒラの経理部社員さんにとっては辛いことです。もちろん、経理部長さんの人柄にも大きく左右されますが。私の場合、2人の経理部長さんに仕えましたが、片方はとことん優しい部長、もう片方は絵にかいたようなクソオヤジだったので、クソオヤジに仕えていた時は日々「この仕訳は合っているかな??」と緊張感を伴って仕事をしていました。仕訳の正確性は上がりましたが、だいぶ疲弊していたのを良く覚えています。そんなクソオヤジに自分のミスを伝えて頭を下げて作業してもらうのは本当に辛いことです。
経営企画部にとっての「制度会計システムの締め」
上に書いたのは経理部の話です。管理会計システムの主なユーザーである経営企画部にとっては、制度会計システムの締めは基本的には部外者の経理部がやることなので、あまり緊張するという事はないです。むしろその緊張感がわからず、「この仕訳を直してくれ」「いや、それは見逃してくれ」と、押し問答の応酬になることがあります。システムの運用者としてはその押し問答の結果を待つのみなので基本的には対岸の火事ではあるのですが、そのような状況になりがちであるという事は覚えておいた方が良いでしょう。