一般的に、勘定科目は階層構造を持ちます。簿記3級の世界だと売上は「売上」という勘定科目一つしかないし、売上原価は「仕入」という勘定科目一つしかありません。ですが、実際の経理の現場では細かく分けられているのが普通です。その階層構造は、それぞれの会社が独自に決めていきます。学問としてキッチリと決まった型のようなものはありません。会社のビジネスモデルの数だけ、階層構造の種類も存在すると思った方が良いでしょう。

システム会社の売上・売上原価の勘定科目の階層構造

勘定科目の階層構造の例を書いてみました。これは、システム開発関連の会社をイメージして作成した、売上の科目と売上原価の科目の階層構造です。

まずは売上ですが、多くのシステム会社の場合、パッケージソフトの販売の売上と、スクラッチ開発の売上、あと運用・保守の売上があると思います。経営者から見れば、「どの事業が儲かっていて、どの事業が儲かっていないのか」という事を把握したくなるのが当然なので、わかりやすく勘定科目を分けるわけです。

売上原価については、この例では「人件費」と「ハードウエア」の括りを書いてみました。同じようにかかった費用であっても、それが人件費なのか否かというのは重要な情報です。また、人件費を更に「正社員」と「派遣社員」に分けています。正社員の給与は固定費的な性格が強い費用、派遣社員の費用は変動費的な性格が強い費用なので、これも分けて見たくなるのが普通です。

また、煩雑になるので書きませんでしたが、当然、売上原価についても、それがパッケージソフトの原価なのか、スクラッチ開発の原価なのか、保守の原価なのか、ということは興味の集まるところですので、この3つそれぞれに勘定科目を分割する、ということも十二分に考えられます。

管理会計に引っ張られた制度会計の姿

この「勘定科目を細かく分ける」という考え方は、制度会計というよりはどちらかというと管理会計的な考え方です。純粋に制度会計のことだけを考えるならば、売上の勘定科目は分けなくてもきちんと納税額は算出できるので、そうしてしまっても問題ないです(と思います)。しかし、実際にはこの「勘定科目を細かく分ける」ということはほとんどの会社で行われています。管理会計が制度会計に影響を与え、制度会計のルールが少し変化しているわけです。制度会計というと「キッチリと体系立ったもの」「ルールがはっきり決まっているもの」というイメージを持つ方が多いと思いますが、このように外部の影響を受けてその姿を変えることもあるのです。この感覚も身につけておくと良いでしょう。


売掛金を即現金化する(ファクタリング)