「長期割賦販売」と呼ばれる取引があります。これについて説明してみましょう。

要するに分割払い

「長期割賦販売」とは、その名の通り、長期間の分割払いでの商品購入のことです。国税庁のページに正式な定義が書いてあります。
第1款 長期割賦販売等|基本通達・法人税法|国税庁

が、上記ページは読まない方がいいです(笑)。もちろん学者さんとかなら読んで正確な意味を理解すべきでしょうが、実務上、ましてや会計SEの立場としては学習コストが高すぎます。

で、端的に言うと、長期割賦販売とは下記3条件を満たす取引です。

  • 支払回数が3回以上の分割払い
  • 支払期間が2年以上
  • 頭金が3分の2以下
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そして、長期割賦販売での売上は、税務上、延払基準による収益計上が認められます

そんなこと言われてもそれが何なのか、よくわかりませんよね。要するに、通常とは違う仕訳を切っても良いということです。

どういうことかというと。例えば、1000万円のものを売って、毎月20万円支払を受ける場合は、普通に考えればこんな感じになります。

まず、最初に売上と売掛金が立って、

通常の仕訳 売上時
借方 貸方
売掛金 10,000,000 / 売上 9,523,810 売上と売掛金を一括計上
仮受消費税 476,190

毎月、売掛金を取り崩す形で預金が入ってきます。

通常の仕訳 入金時
借方   貸方
預金 200,000 / 売掛金 200,000 売掛金が毎月20万円づつ預金に入ってくる。

それに対して、「税務上、延払基準による収益計上が認められます」の仕訳は以下のようになります。

まず、最初に割賦売掛金と割賦仮売上が立ちます。これはどちらもBS科目です。

長期割賦販売の仕訳 売上時
借方   貸方  
割賦売掛金 10,000,000 / 割賦仮売上 10,000,000 「割賦仮売上」はBS勘定

次に、毎月、割賦売掛金と割賦仮売上の逆仕訳を切って相殺して、更に割賦売上(通常の売上と同じくPL科目です)を計上し、反対側には預金を書きます。

長期割賦販売の仕訳 入金時
借方   貸方  
割賦仮売上 200,000 / 割賦売掛金 200,000 毎月、割賦売掛金が少しづつ減っていく。
預金 200,000 / 割賦売上 190,476 毎月、少しづつ売上が立ってお金が入ってくる。
      仮受消費税 9,524  

後者の仕訳が前者と違う最も重要な点は、販売時に全額がPL科目の売上として立っておらず、入金ごとにPL科目としての売上を少しづつ立てていっていることです。

要するに、ただ単に売上が後ろにズレただけのことですが、会計上・税務上はこの違いが重要なのです。なぜかというと、売上が確定していて、なおかつ資金繰りに影響が無いないなら、PL科目としての売上は後ろになればなるほど良いんです。その理由は、直近の現金が増えるから。

売上が翌期になれば、今期の利益は減ります。利益が減れば、税金が減ります。税金が減るということは、今期支払わなければならないキャッシュが減るので、資金繰りが楽になるんです。その分、借金を返済することもできますし、他のことに投資をすることもできます。

そんなわけで、長期割賦販売の仕訳と意義でした。


売掛金を即現金化する(ファクタリング)
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