売買目的有価証券の時価が変化した場合、期末に評価益・評価損を出しますよね。その時の一連の処理は、「切放法」と「洗替法」の2種類の方法があります。切放法は売買目的有価証券の価額を期中も時価のままにし、洗替法では、期中は購入時価格に戻します。少し説明してみましょう。

切放法

2015年4月15日に売買目的有価証券を100万円で購入したとしましょう。すると、仕訳はこうですね。

1-1.売買目的有価証券を購入した
借方 貸方
2015年4月15日 売買目的有価証券 1,000,000 / 預金 1,000,000

そして、2016年3月31日の期末日を迎え、時価が90万円になっていたとしましょう。そうすると、10万円の評価損を切りますよね。

1-2.時価が90万円になったので評価損を出した
借方 貸方
2016年3月31日 売買目的有価証券評価損 100,000 / 売買目的有価証券 100,000

そんで期首を迎えた時、切放法では何もしません。売買目的有価証券の残高は90万円のままです。

1-3.期首の仕訳→何もしない
借方 貸方
2016年4月1日 (仕訳なし)

更に、この売買目的有価証券が95万円で売れたとしましょう。そうすると切る仕訳はこんな感じになります。

1-4.売却時の仕訳
借方 貸方
2016年5月31日 預金 950,000 / 売買目的有価証券 900,000
有価証券売却益 50,000

切放法は以上。

洗替法

次に洗替法です。洗替法では、期首に有価証券の残高を購入時価格に戻します。購入時と期末時の仕訳は切放法と同じ。

購入時。

2-1.売買目的有価証券を購入した(1-1と同じ)
借方 貸方
2015年4月15日 売買目的有価証券 1,000,000 / 預金 1,000,000

期末時。

2-2.時価が90万円になったので評価損を出した(1-2と同じ)
借方 貸方
2016年3月31日 売買目的有価証券評価損 100,000 / 売買目的有価証券 100,000

そして翌期首には、2-2の仕訳の逆仕訳を切って売買目的有価証券の価額を購入時価額に戻します。つまり簿価は購入時の100万円に戻ったわけです。

2-3.期首の仕訳(2-2の逆仕訳)
借方 貸方
2016年4月1日 売買目的有価証券 100,000 / 売買目的有価証券評価損 100,000

そんで売却時の仕訳はこんな感じになります。

2-4.売却時の仕訳
借方 貸方
2016年5月31日 預金 950,000 / 売買目的有価証券 1,000,000
有価証券売却損 50,000

なんでこんな違いがあるの?

そんで、なんでこんな2種類の仕訳の切り方があるのかですが、それぞれの方法で切った一連の仕訳を集計してみるとその意味がわかります。

切放法の仕訳を集計すると以下の通り:

3-1.切放法の仕訳を集計
借方 貸方
売買目的有価証券評価損 100,000 / 預金 50,000
有価証券売却益 50,000

当然ながら、評価損が10万円、売却益が5万円出ていますね。

洗替法の仕訳を集計すると以下の通り:

3-2.洗替法の仕訳を集計
借方 貸方
有価証券売却損 50,000 / 預金 50,000

こちらは、売却損が5万円出ているだけです。

3-1を見ると、結局のところ、この売買目的有価証券の一連の取引では損をしているにもかかわらず、有価証券売却益という売上の勘定科目の数字が発生しています。それに対し、3-2では売上の勘定科目は存在しません。つまり、この有価証券売却益が発生することを会社としてどう認識したいかで、この切放法と洗替法の選択をすることになります。この一連の取引では100万円で買ったものを95万円で売ったわけで、結局損してるんだから売上の仕訳が出るのはイヤだと思えば洗替法を選択するだろうし、いや、それよりも期中の有価証券を時価で評価している方が重要だと思えば切放法を選択することになります。

以上です!


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