前に「売上高配賦」についての記事を書きましたが、
似ているようでちょっと・・・というかだいぶ毛色の違う配賦係数があります。
「テナント売上高」です。

自分の会社の数字じゃない数字で配賦する

「テナント」って、店舗用の建物を借りて家賃を払ってくれる借主(店子)さんの事ですよね。
そのテナントさんの売上高を配賦係数にして配賦するのが「テナント売上高配賦」です。

例えば、イオンのようなショッピングモールを経営している会社は、このような配賦係数を使っていそうです(もちろん、実際のところは知りませんが)。
ああいったショッピングモールの各区画のお店は、当然全てをイオンが運営しているわけではありません。
というか、おそらくほとんどが場所貸しして家賃収入で稼いでいるはずです。

ちなみに、ここでは馴染みやすいように「家賃」と書いていますが、
ショッピングモール等の区画の「家賃」は、家賃とは言わずに「営業料」という呼び方をすることが多いです。
また、その金額も、毎月固定額ではなく、テナント自身の売上高にある程度連動させて上下する契約になっているのが一般的です。

自分の会社にとっての収入はテナントさんからの家賃だけですから、
テナントさん自身の売上高は、自分の会社自身の数字ではありません。
ではどんな時にテナント売上高を配賦係数にするのかというと、「商売の大きさ」に応じて配賦したい場合です。

家賃収入が同じであっても、そこに入っているテナントがやっている商売が大きければよりたくさんの費用を負担してもらう、というやり方です。
もちろん、ここで「負担してもらう」と言っているのは経営指標としての管理会計の世界で「負担」させるということであって、テナントさんから費用をふんだくるという話ではありません。
(但し、たくさん売り上げれば、ある程度売上高に連動させて営業料を大きくする契約も割と一般的ではあります。)

直営店との兼ね合いを考えるとテナント売上高は「便利」

イオンみたいなショッピングモールでは、多くの区画はテナントからの営業料で稼ぎ、残り少しの区画をイオン自身が直営店を経営する、というスタイルが一般的です。
その場合、会計的な「売上高」を使って直営店とテナントとで配賦してしまうと、直営店が損をするのです。
何故かというと、直営店は売上高に対する利益の割合が、テナントと比べてずっと小さいから。

直営店の場合、売上高から商品の原価や人件費を引いて、さらに土地建物の費用を引いた額が利益になりますが、
テナントからの家賃で稼いでいる場合、自分の会社にとっての売上は家賃の額で、それに対する費用は土地建物の費用だけです。

つまり、商売の構造として、直営店の売上高利益率が低くなるのは当然なので、「売上高」で配賦をしてしまうと直営店は損なわけです。

なので、直営店の区画については「売上高」を使い、テナントの区画については「テナント売上高」を使って配賦した方が、
商売の大きさを適切に表現することができ、理にかなっているというわけです。


売掛金を即現金化する(ファクタリング)