コスト削減は固定費から、みたいな話を聞きますよね。それって、正しいのでしょうか?

その考え方は、基本的には正しいと思います。ですが、忘れてはならない視点があります。固定費こそが、競争力の源泉であるという事です。

固定費こそが競争力の源泉

極端な例として、変動費100%、固定費ゼロの商売を考えてみましょう。

自分の店の隣の小麦粉屋さんから、小麦粉を10万円で仕入れました。それを、反対側の隣のパン屋さんに10万1千円で売りました。


これが、変動費100%の商売です。一読してわかると思いますが、この「小麦粉を仕入れてそのまま売るだけの商売」では、商品に何の付加価値も付いていません。小麦粉を仕入れて、こねて丸めてあとは焼くだけの状態にするとか、遠くのパン屋さんまで運んであげるとか、そういう風に一手間かけないと付加価値はつかないわけです。それに、ここでは仕入れた小麦粉が反対側の隣のパン屋さんに売れたものとして書きましたが、このパン屋さんだってアホじゃないわけで、近くで売ってるんだから販売元の小麦粉屋さんに直接買いに行くようになりますよね。

つまり、変動費100%の商売って、付加価値もつかず、競争力も全くない虚しい商売になってしまうわけです。

この仕入れた小麦粉に付加価値をつけるなら。例えば研究開発して「普通よりもおいしいパンが焼ける小麦粉」に加工する技術を身につける。それをするには研究開発する人を雇うことになります。この研究開発する人には毎月給料を払わなくてはならないですが、この人を雇わなければ、買ってきた小麦粉に付加価値が付きません。つまり、固定費が発生すると同時に競争力が生まれているということです。このように、固定費と付加価値を生み出す力はワンセットになっていることが多いのです。

もちろん、付加価値を産まない固定費も、おそらくたくさんあるでしょう。毎日、新聞を読んで帰って行くだけの高齢社員の給料とか。そういうものはガンガン削るべきですが、付加価値を産んでいるかどうか、という視点で固定費を見ることはとても大事です。

固定費を削るためにコスト分析すると、付加価値を産んでいる固定費は「これを削ったら仕事が回らないよ!」という言い方で表現されることが多いです。「これを削ったら仕事が回らない」ということに気付くのはとても重要です。しかし、その言い方では現場を知らない上司に言い負かされてしまうかもしれません。「みんな辛いんだよ!だから回らないと思っても削れ!そして無理にでも仕事を回せ!」というのも、コスト削減の現場でよく交わされる言葉です。

そんな時は、少し言い方を変えて「このコストこそが競争力の源泉です。これを削ったら付加価値がつかなくなります。」と言ってみましょう。強硬な上司の反応も少し変わると思います。


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