年度の本締めはいつ判断すれば良いか
会計の締めを開けるときの緊張感とリラン(再配賦計算)対応の必要性の記事で書いたように、管理会計システムに於いて「締め解除」が発生するのは宿命のようなものです。「今度こそ本当に本締めです!」とお客さんに言われた後、「いや~すんません、もっかい締めを開けて下さい」といわれることはしばしばあります。じゃあ、「本当の本締め」は、いつ判断すれば良いのでしょうか。
管理会計の数字の動く原因をさかのぼろう
管理会計の数字が動く原因は、制度会計の世界で仕訳に修正が発生したり、追加の仕訳が切られたりすることです。つまり、「もう仕訳は絶対に切れない」という保証があれば、その時点が「本当の本締め」になります。それはいつか。経理部長が「締め」と判断しても、その判断が誤りであったことに気付いて修正することはよくあります。会計監査で間違いが見つかったりする場合です。それなら、いつが「本当の本締め」なのでしょう。
外部への報告後は絶対戻れない
「本当の本締め」の判断基準として確実なのは、ズバリ株主総会の決議が終了したか否かです。株主総会では、その期の利益が報告され、その利益をどのように処理するのかが決議されます。つまり、株主総会までに正確な利益を算出する必要があるし、その利益の処理も株主総会で決まります。「利益の処理」も会計上の取引になり、仕訳が発生します。株主総会の決議で、その年度の最後の仕訳をどう切るべきかが決まるわけです。
そして、この株主総会が終われば、締めを開けることはできません。もし株主総会が終わった後に会計の締めを開けたとすれば、それは株主総会に報告した利益が間違っていたという事です。そうなれば、もう一度株主総会をやり直さなければなりません。この障壁はムチャクチャ高いので、本当にとんでもないことが起こらない限り、株主総会の決議後に締めを開けることはありません。細かいことを言えば、たま~に「過年度修正」と言って、過去の年度の数値の修正が入ることがあります。しかしそれはとんでもないイレギュラーな事象なので、システム屋が考える範疇ではありません。おそらく、過年度修正といっても、システム上は翌期の数字として打たれることが多いと思います。
ということで、年度の本締めとして確実なのは「株主総会終了後」です。覚えておいて下さい。