ちょっと気になる記事をネット上で見かけたので書いてみます。それは「楽待」という投資用不動産を扱っているサイトのこの記事。
消費税増税の恩恵受けました! | 楽待不動産投資新聞

消費税増税でトクをしたって本当?

この記事の要旨は「消費税増税で不動産の価値が上がってトクをした!」ってこと。だと思います。誰が読んでもそう思うはず。

記事中の記述を引用します。

事業用に貸しているテナントは消費税を加えて賃料を支払ってもらっていたので、増税に伴い、賃料が増えました。

消費税増税前:21万円/月

消費税増税後:21.6万円/月

自動で賃料が、6千円/月増えました。

たかが、6千円/月と思うかもしれませんが、この6千円/月のパワーを侮ることなかれ!

年間にすると、+7.2万円/年。

更にこの物件を売却した時の事を考えてみよう。

最近、不動産が値上がりしていることを考えて、少し贔屓目に年間表面利回り8%で売れることを考えると、

販売価格は + 7.2万円/ 0.08 = +90万円

表面利回りだけ考えると、実は知らないうちに、90万円も高く売れるような物件にに変身しているんです!
引用元:消費税増税の恩恵受けました! | 楽待不動産投資新聞

しかし、この文章には重大な視点が抜けています。それは、受け取った消費税は税務署に納税しなきゃならないということ。

仕訳を考えると次のようになります。

消費税5%の場合:
家賃収入で21万円が入ってきた時の仕訳は以下の通り。

1:家賃収入の仕訳(消費税5%)

借方 貸方
預金 210,000 / 売上(家賃) 200,000
仮受消費税 10,000

で、受け取った消費税は税務署に納税しなきゃなりません。

2:消費税納税の仕訳(消費税5%)
※簡略化して書いてます

借方 貸方
仮受消費税 10,000 / 預金 10,000

で、手元に残る預金は結局20万円です。

同様に、消費税8%になって家賃が増えた後の仕訳を切ってみましょう。

消費税8%の場合:
家賃収入で21.6万円が入ってきた時の仕訳は以下の通り。

3:家賃収入の仕訳(消費税8%)

借方 貸方
預金 216,000 / 売上(家賃) 200,000
仮受消費税 16,000

で、やっぱり受け取った消費税は税務署に納税しなきゃなりません。

4:消費税納税の仕訳(消費税8%)
※簡略化して書いてます

借方 貸方
仮受消費税 16,000 / 預金 16,000

結局手元に残る預金は、やっぱり20万円です。これが消費税の原則です。事業者は、基本的には消費税でトクをすることはできないんです。

a0002_011360

消費税免税の事業者がトクをするのは事実

ただし、この記事が正しくなるケースもあります。それは、大家さんが消費税免税事業者であるとき。大家さんが個人事業主になるなり会社を作るなりして2年間以内であったり、2年前の課税売上高が1000万円以下であった場合は、消費税を納税しなくてOKです。上記の仕訳で言えば、2と4の仕訳の支払いをしなくていいということです。この場合は、上記記事に書いてある通り、消費税増税で得をすることになります。

しかし、上記記事にはこの重大な前提条件が記述されていません。その意味で、かなり誠実性を欠いていると思います。この記事を書いている人がそのことを知らずにこれを書いているのか、もしくは知っててその前提条件を書かなかったのか。無能か不誠実か、どちらにしろ、この記事を載せている楽待というサイトは正確性の担保がかなり甘いと思います。何も知らない、不動産収入にあこがれを抱いている素人さんを騙そうとしてるんだろうなと私は思いました。

事業を興すって怖いよね

ま、自ら大家になって事業を興すのであれば、そういった海千山千な世界に飛び込むことになるわけで、この程度の騙しは当然あるものと思わなきゃいけないのかもしれないですけどね。でも不誠実なのは間違いない。

あ、でも新しく不動産業を開業する人の大多数は、開業直後は消費税免税事業者になるから、素人さん向けの記事だとこういう書き方もOKなのか?うーん。でもやっぱりちょっと不誠実だよねぇ。


売掛金を即現金化する(ファクタリング)
不動産関連記事: