管理会計や経営分析の基本的知識として、流動比率というコトバが出てきます。説明しましょう。

流動比率とは

流動比率とは、下記の算式で表される数値です。

(流動資産 / 流動負債) * 100

要するに、流動負債に対する流動資産の割合のパーセンテージです。定義はこれだけ。

流動比率の意義

流動比率は大きければ大きいほど良いです。

そりゃ流動資産は多けりゃ多い方がいいに決まってるんだから当たり前じゃんと思った方。正解です。その素直な気持ちで見ればOKです。ただ、流動資産の絶対額だけでは経営の健全性を評価できないので、流動負債に対する割合で見せているわけですね。

「流動」資産と「流動」負債を比べていることからわかる通り、この数値は「直近の資金繰りがラクか否か」を表しています。つまり、倒産しにくいかどうかってことです。ただ、問題点というか弱点もあります。細かい点についてはこの記事中で後述します。

流動比率の目安

一般的に、流動比率の数値は200%以上が良いとされています。でも、これはかなりザックリとした目安です。200%という境目の数値に統計的・数学的根拠は無く、「なんとなくみんなそう思っている」だけのようです。

流動比率は高すぎても「危険」

ただ、高過ぎると今度は会社が買収される危険性が高まります。流動比率が高いということは現金化しやすい資産がたくさんあるということです。つまり、その会社を買って資産を切り売りすれば儲かるんじゃないかと投資家が考えるということです。

ま、そうはいっても買収される会社で働いてる人が「危険」って感じるのも変な話ですけどね。いきなり解雇されるわけでもないし。

実際の会社の流動比率

それでは、実際の会社を例にとって流動比率を計算してみましょう。

トヨタ自動車2013年3月期

トヨタ自動車の2013年3月期の連結貸借対照表を見てみると、流動資産は13,784,890百万円流動負債は12,912,520百万円です。なので流動比率は、

(13,784,890百万円 / 12,912,520百万円) * 100% = 106.76%

です。

いなげや 2014年3月期

もう一例、スーパーのいなげやの2014年3月期の連結貸借対照表を見てみましょう。流動資産は28,621百万円流動負債は28,026百万円です。なので流動比率は、

(28,621百万円 / 28,026百万円) * 100% = 102.12%

です。

いずれも100%強と、理想と言われる200%には遠く及ばない数字ですが、どちらも危険な会社とは認識されていません。まあ、机上の理論と実践は違うんだよというところでしょうか。

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流動比率の問題点

流動比率は「流動資産が流動負債より多ければ、負債を返さなきゃならなくなっても返せるよね?」という考え方を元に算出されるわけですが、現実に即していない部分もあります。それは、流動資産が本当に現金化できるかという問題です。流動負債を返さなきゃならないとなれば現金で払わなければならないわけですが、現金化できるかどうか微妙な資産が流動資産に存在します。

例えば棚卸資産。商品ですね。商品が売れれば現金になるのは当たり前ですけど、商品を売るってのは商売そのものなわけで、商品の現金化、つまり商品を売るという行為が簡単にできるならみんな苦労しません。流動負債をイレギュラーに返済しなきゃならない状況に陥った場合は商品も相当な値引きをしないと売れないでしょうから、棚卸資産に関しては、流動負債のイレギュラーな返済という意味ではあまり役に立たないでしょう。

あとは繰延税金資産とか。繰延税金資産は将来利益が出た時に初めて「現金化」できる性質のものですが、利益が出るような会社なら流動負債の早期返済なんか求められません。なのでこれも、流動資産に入っているけどあんまり意味のない数値と言えるでしょう。

「当座比率」という値もある

上記の問題点を加味した「当座比率」という値も経営指標として語られることがあります。それについては当座比率とはなにかの記事で解説します。


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