昭和電工グループの商社、「昭光通商株式会社」が使途秘匿金を出したそうです。
Yahoo!ニュース – <使途秘匿金>昭和電工子会社が2億数千万円 (毎日新聞)

ここでは、使途秘匿金という科目について説明しましょう。

そんなに隠したいものって・・・

使途秘匿金。あんまっつーかほとんど聞かないですよね。これは、使い道を一切公開しない秘密の費用のことです。勘定科目です。

よく聞く似た言葉に「使途不明金」ってのがありますね。これは使途秘匿金よりもちょっとマシな勘定科目です。なのでそっちから説明してみましょう。

使途不明金とは

使徒不明金とは、使い道は不明だけど渡した相手はわかってるお金のことです。例えば、領収書をもらい忘れて、更に関係者がみんな会社辞めちゃって連絡が取れなくて、何のためにお金を渡したのかわからない、でも渡した相手はわかってる、というケース。そーいうのが使途不明金です。

使途不明金は、費用の科目ですが損金不算入です。つまりは税金が高くつくということです。税務上は交際費と同じような扱いですね。

例えば、売上10億円、総費用が8億円の会社の場合、普通は法人税は利益の2億円の40%なので

2億円 * 40% = 8000万円

です。

しかし、総費用8億円のうち2億円が使途不明金の場合、その2億円は損金不算入なので、税務上の利益は

売上10億円 – (総費用8億円 – 使途不明金2億円) = 4億円

になります。そして法人税はこの4億円に対してかかるので、

4億円 * 40% = 1.6億円

となります。大損ですよね。なので使途不明金はダメよってことです。

使途秘匿金とは

そして使途秘匿金。使途秘匿金とは、使い道も渡した相手も不明なお金のことです。使途不明金は、使い道はわかんないけど渡した相手はわかっていました。でも、使途秘匿金は渡した相手もわからない場合に使います。

「渡した相手も『わからない』」と書きましたが、今回の昭光通商の場合はどちらかと言うと「渡した相手を隠したい」と会社が思っているということのようですが。

これはひどい経理処理なので、懲罰的に税金がかかることになっています。使途不明金の場合は「損金不算入」ということだけでしたが、使途秘匿金の場合は、損金不算入に加え、更に使途秘匿金の金額の40%を税金として支払う必要があります。

さっきの例の使途不明金が使途秘匿金だった場合の税額の計算をしてみましょう。売上10億円、総費用が8億円で、総費用のうち2億円が使途秘匿金だった場合。税務上の利益は、使途秘匿金が損金不算入なので、

売上10億円 – (総費用8億円 – 使途秘匿金2億円) = 4億円

です。そして利益に対する法人税は、使途不明金と同様、

4億円 * 40% = 1.6億円

です。ここまでは使途不明金と同じ。

しかし、使途秘匿金の場合、さらに別の税金が懲罰的にかかります。使途秘匿金の金額に対して40%の金額が税金に上乗せされるのです。上乗せされる金額は、下記の通り。

使途秘匿金2億円 * 40% = 8000万円

で、結局税額の総額は

1.6億円 + 8000万円 = 2.4億円

となります。

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昭光通商は公にできない取引先を抱えている

経理処理は以上。まあ、処理としては簡単ですね。ただ、失った信用は相当なものです。なんといっても、こんなに税金を上乗せで支払ってまで隠したい取引先を抱えているということが公になったわけです。平たく言えばヤクザ屋さんとかですよね。反社会的なことをやってるんだろうなーということを普通は想像するでしょう。

今回は会計の力でそーゆーことがわかったわけですから、逆に言えば日本の企業に対する税制はマトモに機能している、と言えなくもないです。ともかく、昭光通商と昭和電工には近づかない方が良さそうです。


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