「経費で落とす」とは具体的にどんなことか

会社の飲み会とかで、先輩社員とか取引先の人から「あ、これ経費で落とすからいいよ~、気にしないで!」って言われてゴチになることがありますよね。その時の「経費で落とす」って、具体的にはどういうことでしょう。

目次

2種類あるぞ

実は、この「経費で落とす」の意味は大きく分けて2種類あり、費用負担額も大きく違います。それについて説明しましょう。

社内の飲み会で先輩から「経費で落とすからいいよ」と言われた場合

まずこれ。社内の飲み会で、飲み会の参加者は自社の社員しかいなくて、その飲み会の費用が「経費で落とされる」場合。この場合、その飲み会の費用は全額会社持ちということになります。

つまり、「経費で落とすからいいよ」と言ったその先輩のフトコロからは一切、費用は出ていません。完全にタダ酒です。なので、その先輩に感謝する必要はあんまりありません(笑)。もちろん、その先輩が上司に掛けあって「社員の親睦のために費用出してください!!」っつって会社からお金を引き出した社内政治力は感謝に値するかもしれません。が、ともかくその先輩社員は一円も出していないことになります。

あ、もちろん、この場合に経費で落とすには会社に対して「こういう飲み会でお金使いました」という申請書とかを書かなきゃなりません。そういうのって地味に面倒です。そういう面倒を、その先輩社員はおそらく引き受けているので、その点も感謝すべき点ですね。

外注さんの会社の社長から「経費で落とすからいいよ」と言われた場合

もう一つ。SE業界には派遣社員の技術者さんがつきもので、その派遣社員の派遣元の会社の社長と飲み会になることってよくあると思います。その派遣会社の社長が「経費で落とすからいいですよ」っつって支払うこともよくある光景ですよね。

この場合、その社長さんは、実態としてはフトコロを痛めて身銭を切ってます。

上記のような場合、その派遣会社って大抵は小さなオーナー企業ですよね。オーナー企業って、社長がその会社の100%株主になっている会社です。そして、現代資本主義の基本として、会社は株主の所有物です。つまり、オーナー企業の場合は会社のお金は間接的ではありますが社長の所有物です。

このような状況で派遣会社の社長が飲み会の費用を「経費で落とした」場合、その会社の費用が増え、利益が減り、株主への配当金が減ります。つまり、社長が会社から貰う配当金が減るのです。

例として、その派遣会社の一年間の売上が5000万円、費用が4000万円だったとしましょう。この場合、利益は1000万円ですよね。そして法人税がだいたい40%かかるので、残る税引き後利益は600万円です。この600万円は、全て100%株主である社長のものです。実際に、会社から配当金としてお金を貰うことができます。

そして、この状態で100万円かかる大宴会を開き、その100万円を派遣会社の社長が「費用で落とした」としましょう。そうすると、会社の売上が5000万円に対し、費用は100万円増えて4100万円。利益は900万円になって、税引後利益は540万円です。社長が受け取れるお金は540万円ということになります。

この100万円の宴会を「経費で落とした」ことで、この社長は600万円受け取れるはずだったのが540万円に減ってしまいましたよね。つまり、60万円を損していることになります。60万円分、身銭を切っているわけです。

でも、見方を変えれば「100万円支払ったけど損は60万円だった」ということになります。100万円損するところを60万円の損で済んだ、とも言えるわけです。この「損が軽く済む」ことを捉えて、派遣会社の社長は「経費で落とすからいいですよ」という言い方をするわけです。

派遣会社さんには感謝しよう

そういうわけで、自社の先輩社員が言うのと、派遣会社の社長さんが言うのでは「経費で落とす」の意味は違います。派遣会社さんには感謝しましょうね。あ、あと、そもそも論としては、こういう飲み会の費用を何らかの会社が負担することは監査が通りづらくなっています。「経費で落とすからいいよ」の一言は、これからは廃れていくのかもしれませんね。

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