管理会計システムにおける速報性の担保のために何をすべきか
管理会計システムが出力する帳票は、経営者にとって最も読み取りやすい帳票です(というか、そういう風に作らなきゃいけません。)。ということは、決算時期には「早く管理会計帳票を出せ!」と、せっつかれることになります。とはいえ、一般的には管理会計システムのデータソースは制度会計システムが多くを占めているので、制度会計システムが締まらないと管理会計システムの帳票も出力できません。でも、経営者からは尻を叩かれる。どうすればいいでしょう。
締め前に取り込んでしまえ!
経理部の社員は1円のズレもおきないように慎重に仕訳を切ります。その一方で、経営者は一刻も早く帳票を出して欲しいのです。そこでよく出てくる言葉が「柔らかい数字でもいいから、出せないのか!」という言葉。経理部としては完璧に固まらないと制度会計システムは締められません。経営者は、多少間違っててもいいから早く帳票を見たい。それを両立するために手っ取り早い方法は、承認が下りていない仕訳も全部取り込んでしまうことです。
一般に、仕訳データが格納されているテーブルの内容そのものは、締め前と後で変わることはありません。「締めフラグテーブル」みたいなテーブルがあって、そこのフラグで締め済か否かを制御しています。通常は「締めフラグテーブル」を参照して、締まっていないと管理会計には取り込めない、という制御をするのですが、その締めのチェックをすっ飛ばして、承認されていない仕訳も管理会計システム内に取り込んでしまうのです。管理会計システムに取り込んでしまえば、後は通常の処理と同様に配賦計算などを回し、帳票を出してしまえばいいのです。もちろん、確定版ではないことは明示しなければいけませんが。
経理部への根回しも必要
これを実現するためには、経理部への根回しも必要です。「決算直前の時は、金額の大きい仕訳を優先して入力して下さい」とお願いするのです。普通、経理部としては第一に優先するのは作業の正確性であって、金額の大小はあまり意識することはありません。1億円の仕訳も、100円の仕訳も、入力する手間はそれほど変わりませんから。なので、管理会計帳票の速報性を意識した仕訳入力には経理部社員の協力が要るのです。
やらしい話ですが、速報性を担保できているかどうかで、経営者の管理会計システムへの印象は大きく変わります。是非、速報性を担保して、経営者に愛されるシステムにして下さい。