前回、プロジェクトを収支管理単位とする配賦の難しさについて書きました。今回は、プロジェクトに対する売上高配賦を行う際の現実的な対応について書きます。

素直にやったらどうなるか

上記表が、財務会計の売上高に従って売上高配賦をした表です。左の図は、前回も示したプロジェクトの進行イメージ図です。

売上高配賦をした、と書きましたが、上記表には大きなハテナマークが書かれています。財務会計に従った売上高配賦をしようとする場合、このハテナマークの月はどのプロジェクトも一切売り上げが立っていないので、配賦係数が全てゼロです。つまり、配賦することができません。プロジェクト型の事業を行っている会社の場合、このようなことはよくあります。半期内・年度内に売上を立てようと、半期末・年度末にプロジェクトの完工が極端に集中し、他の月は売上が立つことが少ないからです。

もう一つ。プロジェクトBとプロジェクトFを比べて見て下さい。プロジェクトBの売上は500、プロジェクトFの売上は300と、プロジェクトFの方が売上が少ないのに、配賦された費用はプロジェクトBが100、プロジェクトFは400になっています。これは、たまたま間接費がたくさん発生した月に運悪く売上が立つと、その売上が立ったプロジェクトに多くの費用が配賦されてしまうからです。これは、
「大きなビジネスをしているプロジェクトに、より多くの費用を負担してもらう」
という、売上高配賦の思想に反します。

解決策

解決策の一つは、契約額を工期にわたって月割にした額(「みなし売上高」)を配賦係数とすることです。財務会計上の売上額を使う事を諦めるわけです。下に図を示しましょう。

3つの表のうちの一番下、間接費配賦額を見て下さい。各プロジェクトにそれなりに間接費が配賦されているのがわかるでしょう。みなし売上高を配賦係数にすることで、毎月それなりにまんべんなく配賦係数が立ち、ビジネスの大きさに沿った配賦が可能になります。この「みなし売上高配賦」には大きなメリットがあります。

  • プロジェクト開始時に配賦係数が確定する
    契約額を配賦係数とすると、プロジェクト開始時に配賦係数が確定します。何が何でも実際の売上高を配賦係数として使おうとすると、例えば4月から8月のプロジェクトだったとすれば、4月の費用の配賦に使う配賦係数は8月にならないと確定しません。これは、速報性を大きく損ないます。
  • 失敗プロジェクトにも配賦できる
    プロジェクトには失敗がつきもの。売上が立たないこともままあります。そのような場合、財務会計上の売上高を配賦係数にすると一切間接費が配賦されませんが、契約額を使えば配賦が可能です。失敗プロジェクトに間接費を負担させるのは賛否両論あると思いますが、失敗プロジェクトも、運営には間接費の恩恵を受けているはずです。その意味では平等と言えるでしょう。
  • 運の要素が大きく減る(より平等になる)
    毎月にまんべんなく配賦係数が立つことにより、「たまたま間接費が大きい月に売上が立ってしまい、損をした」という状況が無くなります。無用な社内駆け引きが減ることでしょう。

しかし、みなし売上高配賦でもまだ解決できない問題があります。資産形成プロジェクトにどのように間接費を配賦するのか、という問題です。上記表のプロジェクトEを見て下さい。契約額がゼロ、みなし売上高もゼロ、間接費配賦額もゼロです。これは、パッケージソフト等の資産を製造するためのプロジェクトです。パッケージソフトを製造しようとした際、当然外部との売上にまつわる契約は基本的にありません。完成した後に売っていくのですから。このようなプロジェクトをどのように扱うかについて、次の記事で書いていきましょう。


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