前回、店舗を収支管理単位とした配賦について書きましたが、
店舗と打って変わって厄介なのがプロジェクトを配賦先にした配賦です。

収支管理単位(配賦先)としての店舗とプロジェクトを比較すると、以下のような違いがあります。

店舗 プロジェクト
1 売上発生 毎月発生 プロジェクト終了月に発生
2 発生・終了 あまりない 頻繁にある
3 売上額確定 毎日 プロジェクトの納品物検収時
4 費用発生 毎日 プロジェクト進行中は資産に積み上げ
売上時に全資産を切り崩して費用化
5 その他 毎日 売上ゼロ、費用ゼロで資産化するプロジェクトもある

店舗配賦

店舗の売上のイメージを図に描くと、こんな感じです。

店舗に対する配賦の場合、まず店舗は出店・撤退が激しくありません。
収支管理単位の出入りがあまりないので、配賦する際に配賦対象の増減を気にする必要はあまりありません。

また、小売業や飲食業の場合、売上は毎月それなりにあがってきます。
当然、その金額は上下しますが、毎月「それなりの額」があがってきます。
例えば、月の売上が1000万円の店舗について、その次の月の売上は、1500万円になったり500万円になったりすることはあるでしょうが、いきなりゼロになることはないでしょう。

さらに、売上額は毎回売り上げるたびに確定します。
ここも配賦計算が容易なところです。

プロジェクト配賦

それに対して、プロジェクトのイメージを図に描くと、こんな感じです。
※土木工事や、SIerのシステム開発を念頭に置いて下さい。

プロジェクトの場合、まず決定的に店舗と違うのは、売上が建つのが検収時のみだということです。
小売業等の店舗の場合は毎月それなりの売上が立ちますが、プロジェクトの場合は、一般にプロジェクト開始からず~っと売上が立たず、プロジェクトが終わる瞬間に大きな売上がドーンと立って終わります。

更に、プロジェクトは「出入り」が激しいです。
小売業等の店舗は、普通は少なくとも数年は営業する前提でしょう。
しかし、土木工事やSIerのプロジェクトは、数ヶ月や長くても2年程度で終わります。
つまり、配賦先の収支管理単位が激しく動くのです。

また、売上額が、プロジェクトが終わるまで確定しないというのも特徴です。
プロジェクトDを見て下さい。
プロジェクトDは、途中で失敗して売上がゼロになっています。
このプロジェクトも、開始時点では契約額が決まっていて、売上の予定額があったはずです。
しかし、フタを開けてみたら売上がゼロで終わることになってしまった。
じゃあ、このプロジェクトは売上ゼロで、売上高配賦では費用負担しなくていいの?という問題があります。

あと、費用発生について。
財務会計上では、プロジェクトにかかった費用については、プロジェクト進行中は費用にしません。
仕訳のイメージとしては、

普通の費用ならば

製造者の給料(PL科目(費用科目)) 200,000 / 預金 200,000

という仕訳ですが、
プロジェクト会計では、プロジェクト進行中の給料については

仕掛品(BS科目(資産科目)) 200,000 / 預金 200,000

と仕訳を切っておいて、売上が立った瞬間に、

製造者の給料(PL科目(費用科目)) 200,000 / 仕掛品(BS科目(資産科目)) 200,000

という仕訳を切り、仕掛品として計上していた給料の額を、改めて費用化します。

もう一つ。
「資産化プロジェクト」というのがあります。
「資産化プロジェクト」というのは私が勝手につけた名前ですが、どんなプロジェクトかというと、
パッケージ製品を作るためのプロジェクトです。
例えば、「勘定奉行」って会計パッケージがありますが、この勘定奉行を製造するプロジェクト。
この勘定奉行を作るための「プロジェクト費用」は、毎月はPL科目としての費用は計上されないし、完成した瞬間も、売上も費用も立ちません。
仕訳を書くと。

プロジェクト進行中は、

仕掛品(BS科目(資産科目)) 200,000 / 預金 200,000

プロジェクトが終了し、完成したら、

固定資産(パッケージ製品の価値) 200,000 / 仕掛品(BS科目(資産科目)) 200,000

という仕訳を切り、仕掛品として計上していた給料の額が、固定資産になります。
そして、このパッケージ製品は「小売」され、パッケージ製品の価値は、固定資産として毎月減価償却されていくことで費用化されていきます。
つまり、プロジェクト進行中やプロジェクト終了時は、売上額はわかりませんし、費用も財務会計としては発生しません。

このように、プロジェクトの管理会計を考えるとき、様々な困難があります。
それぞれについて、次の記事から現実的な解を示します。


売掛金を即現金化する(ファクタリング)