階層構造を持つ収支管理単位において、やり方を間違えると厄介になるのが階層構造毎の数値の配賦と集計です。どんな困難があるか説明しましょう。

素直にやったらどうなるか

前回の記事でドンキホーテを例にとって収支管理単位の階層構造を説明しましたが、左の図は、その前回の図に少し手を加えたものです。「国内事業部」の下に直属の実験店舗Aを追加しています。この状態で、国内事業部の事業部長の給料を配下の収支管理単位に配賦する時のロジックを考えてみます。

素直に考えると、上の階層で発生した費用は直下の階層へ順番に落として行きたくなります。国内事業部→(実験店舗A,北海道・東北エリア,関東エリア)→(配下の店舗)といった具合に。

それを素直にやってみたのが左の表です。ここで、表の右下の赤い数字を見て下さい。左上の配賦元金額が1,000,000円であるのに対し、第3階層の数値の合計は1,000,000円になっていません。この原因は、「実験店舗A」が、組織階層上、国内事業部直属になっており、第3階層が存在しないためです。第3階層の金額合計と、実験店舗Aの数値を足すとちょうど1,000,000円になり、配賦元金額と一致します。

このロジックは配賦としては間違ったことはやっていないのですが、このまま運用しはじめると、必ず疑念が頭を渦巻いてきます。「この配賦計算の結果は、本当に正しいのだろうか?」と。このロジックでは、最下層の数値合計が配賦元金額と合わないのは当然です。しかし、お客さんから見れば一致していないと不安になるはずです。

それに対する解の一つは、どのような階層構造であろうとも、この図の例で言えば第3階層は必ず持つようにする、という事です。つまり、第2階層の「実験店舗A」の下に、第3階層としての「実験店舗A」を持たせ、配賦してしまうのです。そうすると、どの階層を見ても合計値と配賦元金額が1,000,000円で一致し、一見して不安になることはありません。

配賦は最下層の収支管理単位へ一気に行おう

さらに、組織階層の最下層を全て揃えることの恩恵は他にもあります。配賦のロジックが簡単になるのです。最下層が全て揃っている場合、配賦は、配賦元から1階層づつ順々に配賦していっても、最下層の収支管理単位へ一気に配賦しても数値は同じになります。このロジックが直感的にピンと来るかどうかは数学的センスが問われますが、ピンとこなかった人も、実際にExcel等で計算してみて下さい。一度やれば納得できると思います。

配賦計算の実装は手間がかかりますから、配賦は最下層へ一気に行ってしまい、配賦後に上へ向かって集計して各収支管理単位の集計値を出すのです。こうするか否かにより、配賦ロジック構築の工数は大きく変わってくると思います。


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