私は以前、ワンマンオーナー社長な会社の経理をしていました。ワンマン社長の会社はうまく行っている時は一気に成長するし、意思決定が早いのでそういう時は居心地は良いです。でも、やはり苦言を言える人がいないとどこかでつまづいてしまいます。株式会社になって他人の資本が入ってきてからも社長が会社のお金と自分のお金の区別をつけないようだったら問題です。そこで、私の思い出話を一つしましょう。

会社の私物化が発覚した例

私が居た会社はなにしろワンマン社長だったので、社長が欲しいと思ったものは社長がガンガン勝手に買ってました。高級車とか、社長の自宅とか。そしてそれに対して苦言を言う人も少しは居ましたが、すぐに辞めさせられていきました。


アロワナ!! / ict.wa4

そしてある年の年始、事件が起きました。社長室で飼っていた熱帯魚のアロワナが死んでいたんです。このアロワナも、社長が趣味で買ったもの。ちょうど正月にビルのメンテナンスがあって、停電になった時間があったせいで空気ポンプが止まっちゃったことが死んだ原因でした。30万円ほどする熱帯魚で、経理上は固定資産として計上されていました。死んでしまったので、仕方なく帳簿上からも除却処理しました。

そしてその年度の会計監査。このアロワナを買ったことが会計士の方にバレて問題になったんです。なぜバレたかというと、直接的な原因は除却処理をしたから。監査では「特別損失」から細かく見ていくのが基本らしいのですが、固定資産の除却分の損失は「特別損失」として計上されるので、そこから発覚しました。

さらに問題だったのは、固定資産を買う際には、会社の規定上、稟議書を書いていろんな人のハンコを貰わなきゃいけないのですが、それを全くやらずに買ってしまったこと。社長はそういうの全く何も考えずにいきなりアロワナを買ってきちゃったんです。社長に「会社の金は、俺の金じゃあない」という認識がちょこっとでもあれば30万円という高額な買い物をするとなれば多少の躊躇があったはずだと思うのですが、まあ、「会社の金は俺の金」と思っていたのでしょう。

この出来事で、「社長が規定を無視して会社の金を使った」ということが明るみに出て、監査は厳しくなりました。アロワナの件そのものは会社の規模と比較して小額だったので不問になったのですが、会計士の方の心象は悪くなったらしく、その後他にも色々あって次の年には監査法人が変わってしまいました。そしてその翌年には会社は倒産しました。

会社が私物化されると変な特別損失が出てバレる

今から考えると、会計の世界って上手くできてるなと思います。ワンマン社長が会社を私物化すると何かしらモノを買うと思うのですが、20万円以上のモノは一般的には固定資産になります。そして、固定資産を買うときにはいろんな人のハンコが要るように規定ができているのが普通です。つまり、社長が勝手に高いものを買ってくると会社の規定に引っかかるようにできてるんですね。とっても感心しました。

そんなわけで、「会社が私物化されると変な特別損失が出てバレるよ」というお話でした。


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