所有権移転外ファイナンスリース 簡便処理(利息計上無し)の仕訳のすべて

リースについて色々書いておりますが、今回は所有権移転外ファイナンスリースのうち、簡便処理で、なおかつ利息を計上しない方法を選択した場合の仕訳を書いてみましょう。

目次

利息計算しなくていいって素晴らしい!!

所有権移転外ファイナンスリース(原則処理)の仕訳と決定的に違う点。それは、利息計算しなくて良いということです。あのクソめんどくさい利息法での利息計算を一切しなくて良いのです。ヤッホイ!!

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基本的な考え方

では、所有権移転外ファイナンスリース(原則処理)の仕訳の時と同様に、毎月の支払が12万円で期間は60ヵ月、利率は年5%と仮定して仕訳を切ってみます。

利息計算はしませんので、仕訳に支払利息は一切現れません。が、原則処理と比べて費用が減るわけではありません。原則処理で支払利息で計上されていた金額が、毎月の償却費に回るだけのことです。

リース開始時

リースを開始した時。まず、「お金を借りて買った」仕訳を切ります。原則処理の仕訳と違い、利息が現れませんので、支払金額全額をリース債務として認識し、その支払金額全額のリース債務と同額のリース資産を買ったと解釈して仕訳を切ります。金額は、月額12万円*60ヵ月=720万円です。

リース開始時の仕訳

借方 貸方
リース資産 6,857,143 / リース債務 7,200,000
仮払消費税 342,857

毎月の処理

毎月の処理としては、支払と償却の二つの仕訳を切る必要があります。この二つのうち支払の仕訳に関して支払利息を計上しなくていいってのがポイント。

支払の仕訳

仕訳の形は非常に単純です。支払った金額の分、リース債務が減るだけです。

月々の支払いの仕訳
(金額も毎月同じ)

借方 貸方
リース債務 120,000 / 預金 120,000

この仕訳を60ヶ月、毎月切ることでリース債務はゼロになります。

減価償却の仕訳

減価償却の仕訳は原則処理と同じ形ですが、利息がゼロの分、リース資産の金額が大きくなっています。そのため、償却費は異なります。今回の場合であれば、最初に書いたリース資産の簿価である6,857,143円を基にリース資産償却費を算出します。

今回は、リース期間定額法で仕訳を切ってみます。リース期間定額法だと、6,857,143円のリース資産を60ヵ月で定額償却するわけですから、毎月の償却費は

6,857,143円 / 60ヵ月 ≒ 114,256円

になります。毎月この金額で、仕訳の形も毎月同じで切ります。下記の通りです。

毎月の償却の仕訳
※毎月同じ仕訳になる。

借方 貸方
リース資産減価償却費 114,256 / リース資産減価償却累計額 114,256

いや~簡単でしたね。ただ注意しなきゃならないのは、本当は「お金を借りて買ってる」のと同じことなのに、支払利息を計上していないこと。仕訳は簡単ですが、会社の財務諸表としてはちょっと歪んだ感じになります。経営判断のために数字を使う際には、この処理にしたリース資産がどのくらいあるのかを頭に入れておいた方が良いでしょう。

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