会計で「一括償却資産」という言葉が出てくることがあります。会社によっては勘定科目として使われているところもあるかな。この一括償却資産というのは、理解するためには会計と税務の両方の知識が必要なコトバです。少し説明してみましょう。

10万円~20万円の「消耗品」

一括償却資産とは、一般的には10万円以上20万円未満の消耗品のことです。資本金が1億円以下の中小企業などは30万円以下であれば当てはまったりするのですが、詳しく知りたい方は下記の国税庁のページを見て下さい。
No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|法人税|国税庁

どう処理する?

買ったものが一括償却資産にあてはまる場合、会計上は買った金額をそのまんま費用に計上するのに対し、税務上は3年間で償却します。

一言でいうとそれだけなのですが、あんまりピンと来ませんよね。例を出して説明してみましょう。

例えば、損益計算書が下記のようであったとします。一括償却資産が90発生しています。税引前利益は210ですね。

損益計算書
(仮)(2011年度)
  2011年度
金額
売上 1000
売上原価 500
給与 200
一括償却資産 90
税引前利益 210

で、法人税率を40%とした場合、法人税は 210 * 40% = 84 になるかというと、そうはなりません。なぜなら、一括償却資産は、会計上の扱いと税務上の扱いが違うからです。

法人税は、会計上の利益ではなく、税務上の所得から算出します。大抵の場合、会計上の利益と税務上の所得はだいたい同じくらいになるのですが、完全に一致することはまずありません。

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全額算入と3年均等償却によるズレ

そのズレの原因になる典型例が一括償却資産です。一括償却資産の金額は、会計上の利益を計算する際には全額を費用として扱いますが、税務上の所得を計算する場合には3年間の事業年度に渡り3分の1づつ償却します。なお、会計用語と税務用語の超基本については会計用語と税務用語の対比をどうぞ。

つまり、2011年度に買った一括償却資産は、会計上は全額が2011年度の数字になって終わりですが、税務上は2013年度まで影響が及ぶことになります。上記の損益計算書の例の場合、この一括償却資産の存在により、会計上の利益と税務上の所得は下記の表のようにズレます。なお、2012年度・2013年度の会計上の利益は300としました。

2011年度 2012年度 2013年度 3年合計
発生した一括償却資産 90 0 0 90
会計上の利益 210 300 300 810
一括償却資産による調整 +60 -30 -30 0
税務上の所得 270 270 270 810
法人税 108 108 108 324

このように、一括償却資産が発生した場合は会計上の利益と税務上の所得がズレます。その結果、損益計算書はこんな感じになります。

損益計算書
(仮)(2011年度)
  2011年度
金額
2012年度
金額
2013年度
金額
売上 1000 1000 1000
売上原価 500 500 500
給与 200 200 200
一括償却資産 90 0 0
税引前利益 210 300 300
法人税 108 108 108
純利益 102 192 192

2011年度を見ると、税引前利益210に対して法人税が108。税金が、利益の半分以上持って行かれていますね。でもこの計算で正しいんです。上記の通り、一括償却資産の影響でこうなります。

逆に、2012年度・2013年度は、法人税は税引前利益の36%になっています。法人税率は40%だけど、法人税の金額は税引前利益の36%になっているわけです。そして、これで正しいんです。

年度途中であっても3分の1を償却する

なお、一括償却資産を年度の途中で取得した場合、償却額を月割したりすんのかな?と思う方も多いと思いますが、一括償却資産の場合は償却額の月割は一切必要ありません。年度末月に取得したものでも、その年度内に3分の1の額を償却してOK。

一括償却資産は税務知識の入り口

一括償却資産の処理は、経験の浅い方にとっては、おそらく会計と税務の違いを意識する初めての場面になることが多いと思います。取っ付きづらいかもしれませんが、ぜひじっくりと理解して下さい!


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