圧縮記帳という言葉があります。簡単に言えば固定資産の特殊な取り扱い方なのですが、少し説明してみましょう。

補助金等に伴う処理

圧縮記帳は、国庫補助金等で利益を得た場合に行う会計処理です。

工場設備等を買う場合、公的機関から補助金を貰えることがあります。そういう時に、この圧縮記帳がないと困るのです。

圧縮記帳を行わない場合

圧縮記帳を行わない場合、仕訳は次のようになります。100万円の補助金を受け取り、200万円の備品を買ったことにしましょう。

まずは補助金が銀行口座に振り込まれます。

A-1.補助金を受け取った仕訳

借方 貸方
預金 1,000,000 / 国庫補助金受贈益 1,000,000

次に、備品を買います。

A-2.備品を買った仕訳

借方 貸方
備品 2,000,000 / 預金 2,000,000

これで終わり・・・ではありません。いや、終わりっちゃー終わりなんですが、補助金を受け取った分の利益に対する税金を考えると大変なんです。

A-1の仕訳で、100万円を受け取りましたね。これは会計上の売上になるので、それがそのまんま利益に乗っかり、税金が増えます。100万円に対する法人税は、税率40%とすれば40万円です。

A-3.納税の仕訳

借方 貸方
法人税 400,000 / 預金 400,000

ここでA-1・2・3の預金の動きを見て下さい。200万円の備品を買うために、100万円の補助をしてもらっているのに、合計140万円の預金が出て行っていますよね。これがいただけないんです。

補助金を100万円貰っているのに、200万円の備品を買うために140万円支払っている。実質60万円のメリットしか受けられていないわけです。補助金ってのは、将来利益を上げてもらって税金を払ってもらうために、今現在はカツカツな会社に対してお金を出すってシチュエーションが多いわけで、どうせ補助金を出すなら効果を最大化したいですよね。そのために、A-3の税金の支払いをチャラにできるように「圧縮記帳」をします。

圧縮記帳を行う場合

圧縮記帳をする場合の仕訳はこちら。B-1はA-1と、B-2はA-2と同じです。

B-1.補助金を受け取った仕訳

借方 貸方
預金 1,000,000 / 国庫補助金受贈益 1,000,000

B-2.備品を買った仕訳

借方 貸方
備品 2,000,000 / 預金 2,000,000

そして下記のB-3が圧縮記帳の仕訳。B-1で受け取った補助金の金額を「固定資産圧縮損」を計上し、「備品」の勘定の数値を直接減らします。減価償却累計額は使いません。

B-3.圧縮記帳の仕訳

借方 貸方
固定資産圧縮損 1,000,000 / 備品 1,000,000

そして法人税はどうなるかというと、B-1の補助金は、B-3で計上した固定資産圧縮損で打ち消されるのでこの補助金に関しては利益ゼロです。なので、法人税もゼロということになります。

圧縮記帳はPL上のトクをするわけではない

なお、補助金を貰って固定資産を買った年のPL上の利益は上記の通り違ってきますが、最終的にはPL上の利益は変わりません。圧縮記帳をすると法人税を支払わずに済みますがその分固定資産の簿価が下がるので、償却費が小さくなります。その結果、固定資産の償却も含めると同じになるのです。

その意味では、圧縮記帳の仕組みは当座のキャッシュフローを助けるための制度と言うことができます。


売掛金を即現金化する(ファクタリング)
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