サラリーマンの出張費ちょろまかしで御用達のスカイマークに継続企業の前提に関する注記が出たようです。
スカイマーク、4~6月最終赤字57億円 継続企業の前提で注記 :業績ニュース :企業 :マーケット :日本経済新聞

これについてちょっと読んでみましょう。

そもそも「継続企業の前提に関する注記」とは?

そもそも「継続企業の前提に関する注記」ってなんのことでしょう?

これは要するに「会社が潰れそうだ」、倒産しそうだってことです。会社ってのは「永遠に続く」っていう前提のもとにいろんな活動をしています。その「永遠に続くという前提」、つまり「継続企業の前提」が、業績悪化によって怪しくなってきたってことです。

これを書かないと監査人がOKを出さない

今回の「継続企業の前提に関する注記」は、スカイマーク株式会社の平成27年3月期第1四半期決算短信に載ったものです。この決算短信は、当然ながらスカイマーク株式会社が作成したものです。自分で「ウチ、潰れそうです」って書いてるわけですね。はたから見てるとちょっと可哀想になりますが、実際の会社の状態としてマズい状態になってる場合、これを書かないと監査法人が「この決算短信で大丈夫」ってOKを出さないんです。一方で、決算短信の発表期限は「遅くても45日以内、望ましいのは30日以内」と決まっていますから、いや書かない方向でなんとかしてよとか言っても逃げられません。

今回のスカイマークの平成27年3月期第1四半期決算短信は7月31日に出ています。これは、締め日である6月30日から31日目。「望ましい」とされる30日から1日遅れた31日目。きっと監査法人と激しくバトルしたんだろうなあと感じます。

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ここでズルい会社なら、監査法人の変更とかをやっちゃうんですけどね。「継続企業の前提に関する注記」ってのは、それほど明確な数値での判断基準があるわけではなく、最終的には監査法人の主観に基づくものです。なので、別の監査法人を連れてきて監査してもらえば「継続企業の前提に関する注記」無しでもOKって言ってもらえるかもしれません。ただ、このタイミングでスカイマークがそれをやると「あ、注記を書いてほしくないから監査法人を変えたんだね」ってだいたい想像がついてしまいます。なので、まあ上場企業の場合は逃げ場はないです。

ちなみに、スカイマーク株式会社の監査法人は東陽監査法人。今回の継続企業の前提に関する注記の前後で、変更された形跡はないです。

嫌疑の内容は?→1150億円でエアバスA380型機4機導入の計画の破談

そして肝心の嫌疑の内容は、1150億円でエアバスA380型機を4機買う、という計画が破談になったということです。この件単独でのIRも出てますね。
エアバスA380型機導入に関する本日の一部報道について

上記PDFファイルを読み解くと、以下の様な状況のようです。

  • スカイマーク株式会社は、平成23年2月にエアバスA380を4機、カタログ価格1150億円で買うことを発表し、エアバス社と契約を結んでいた。
  • でも、円安とかで経営環境が悪化し、1150億円(?)が払えなくなった。
  • 契約変更(契約規模縮小)の交渉をしているが、エアバス社から「契約変更するなら、確実に代金を支払えるように大手航空会社の傘下に入って財務体制を強化しろ。さもなくば違約金払え。」と言われている。
  • スカイマーク経営陣としては大手航空会社の傘下には入りたくない。かといって違約金を払う義務もないと考えており、交渉中。
  • 「違約金」は「常軌を逸した法外な額」。

スカイマーク経営陣としては簡単には大手の傘下に入りたくないってのはわかりますが、求められている違約金の額を書かないのはちょっといただけないな~と思います。とりあえず求められてる金額は表示してもイイと思うんですけど。それが本当に「常軌を逸した法外な額」なら、訴訟になっても勝てるでしょ。金額隠してるってことは、払わなきゃいけない確実性が高いと感じるんだよね。個人的にはね。

スカイマークあたまおかしい

で、立ち返ってスカイマークの財務諸表を見てみると、かなりクレイジーな判断をしていることがわかりました。あ、クレイジーってのは私の感覚ですけど。

このエアバスA380の4機購入の計画を立てたのが平成23年2月。その平成23年3月期の売上と利益を見てみると、売上が580億円、経常利益が110億円、当期純利益が63億円でした。

その状態で、1150億円の航空機購入を決めたんです。純利益の18倍、売上に対しても約2倍。ちょっと頭おかしいですね。よくこんな投資を決断したものだ。これじゃあエアバス社側に「こりゃ実際のところ払ってもらえるかわかんないからしっかり違約金請求の準備をしておこう」と思われてもしょうがない。

この違約金の金額はわからないわけですが、「常軌を逸した法外な額」ってどんな額なんだろうと思うと、購入金額がそのまんま違約金として請求されるんじゃないの??とか思ったりします。ちなみに、2014年3月期のスカイマークの売上は860億円、経常利益は40億円の赤字、当期純利益は184億円の赤字です。2014年3月期の赤字は、売上の21%にも上ります。この赤字幅はちょっと看過できないですね。そこにドーンと1150億円の負債が乗っかったら?どう見ても倒産だよね。間違いないよね。
2014.08.01追記:違約金は「700億円規模」だそうです。
経営の甘さ…スカイマークにA380解約通告 : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
ちなみにスカイマーク株式会社の純資産は380億円。2倍弱の金額の違約金ですね。恐ろしい。

そんな感じで、スカイマーク、かなりマズいですね。今PTSを見たら株価は堅調に推移しているようなので、みんなこの事態は想像ついてたのかな。ついてたんだろうな。いずれにしろ、スカイマークは普通の投資家さんは手出ししない方がいい銘柄になってしまったようです。出張費を浮かせるために、スカイマークにはなんとか頑張って欲しいところですけどね。航空業界も厳しい世界ですね。


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