パススルー課税とは何か(SPC・LLP関連)

「パススルー課税」という言葉があります。税金の話です。わからない人にはわからないと思いますので、ちょっと説明してみましょう

目次

出資者にのみ課税する課税方式

パススルー課税とは、出資者が得をする、ちょっと特殊な課税方式です。通常の株式会社に出資する場合には適用されず、SPC・TMK(特定目的会社)やLLP(有限責任事業組合)に出資する場合のみ適用されます。

株式会社に出資する場合(つまり、パススルー課税ではない場合)

通常の株式会社に出資する場合。たとえば普通の株式市場で株を買ったりした場合ですね。この時の課税の仕方を見てみましょう。

株式会社Aが1億円の利益を上げたとします。そうすると、法人税がかかりますよね。法人税は大抵40%なので、税金を払ったあと残る利益は6000万円です。

この6000万円を全て株主に配当した場合、株主個人の利益は6000万円になりますね。しかしそれで終わりかというと違います。今度は株主個人の所得に対して税金がかかります。6000万円の収入があればだいたい半分は税金で持って行かれます。そうすると残るのは3000万円ですね。

つまり、株式会社Aは1億円稼いだけれども、株式会社Aとしての法人税を取られ、さらに株主個人に対しても所得税が取られているわけです。稼いだ1億円に対して最終的に残ったのは3000万円なので、ある意味、税率は70%とも言えるわけです。うげぇって感じですね。二重に課税されているわけです。

SPCなどに出資する場合(つまり、パススルー課税が適用される場合)

これに対して、SPCなどに出資した場合は大抵パススルー課税が適用されます。特定目的会社Bが1億円の利益を上げ、その利益を投資家に配当する場合、1億円の利益のほとんどすべてを投資家に配当するのならば、特定目的会社Bに対して法人税などはかかりません。1億円が無税でそのまんま投資家に配当されます。

そして、投資家個人(法人でも可)の所得税としてのみ税金を取られます。投資家には1億円が配当されているので所得は1億円、所得税率が50%とすれば5000万円が税金で取られて5000万円が残るわけですね。

この、特定目的会社Bに対して法人税がかからないことを称して「パススルー課税」という言葉が使われます。会社をスルーして個人のみに税金をかけているわけですね。

SPC・TMK・LLPは色々と縛りがある

ただ、SPC・TMK・LLPは色々と運営に縛りがあります。上記の通り、SPC・TMKの場合は利益の大半を配当しないとパススルー課税は適用されません。つまり利益を上げても内部留保出来ないわけで、組織として商売を大きくしていくことは基本的に想定されていません。これがSPC・TMKのデメリット。つまりはパススルー課税のデメリットです。税金が安く済む代わりに、会社を大きくできないわけです。

これに加えてLLPに関しては、法人格を持っていないことがも大きなデメリットです。LLPは、あくまでも個人が集まっているだけの団体であり、法人ではないのです。例えば建設業の免許を取れなかったり、あとなんだろうな・・・まあ、株式会社に対して出るような許認可はほぼLLPでは取れません。そのため、やはり商売はやりづらい部分があります。

そんなわけで、SPC・TMK・LLPを使うと税金が安くなるというお話でした。

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