コミケ。私はコミケに行ったことはないが、なんとなくその魅力は感じている。おっさんながら、死ぬまでに一度は行ってみたいイベントである。よし、次のコミケには行ってみよう。

小銭の準備・・・

あ、コミケってコミックマーケットのことね。
コミックマーケット公式サイトへようこそ

それで、私の中でコミケとセットで思い出されるのが小銭の管理である。以前、このtogetterを読んだことがあるのだ。釣り銭の準備が十分でなかったサークルがどうしても出てきて、ゲーセンが対応に苦慮しているらしい。
コミケなどのためにゲーセンで両替する奴ら 2013冬 – Togetterまとめ

実際にコスト計算した人もいる。
コミケに両替機置いたら良いのに!というアナタのために、勝手にコストを計算してみましたよ | ポート24 [PORT24] 愛知県のゲームセンター

上記サイトのコスト計算には120%同意するのだけど、これはコストとして計算した場合だ。これを読んで、私は「手数料を取って商売としてやったらなんとかならないか」と感じた。そこに両替のニーズがあるのなら、それなりのお金を取って両替商を営む人が一人や二人いても良さそうなものだ。しかしどうもそういう人は存在しないらしい。

気になったので、「もし私がコミケに両替商として出店したら」を想定して原価計算をしてみることにした。もしペイする計算になれば、コミケに両替商が出現し、薄い本の速やかな流通に寄与することだろう。それがエレガントな貨幣経済というものだ。

なお、直接的に現金をやりとりするということで法的な規制があるんじゃないかと気にする人もいると思うが、これを書いている現時点では日本円での両替商に対する規制は無いようだ。何の届け出もなくいきなり始められる。たぶん。

かなり小規模だけど

さっきのリンク先の計算では、コミケの全ての来場者の小銭を用意しようとしているが、この記事では、「私が両替商として出店したら利益を得られるか」だけを考えることにする。

商売の態様だが、現金を用意して、銀行で両替して、その調達した小銭をコミケで人力で売るということを考える。高価な両替機は導入しない。また、想定するお客さんは一般来場者ではなく、おつりを用意するサークル側の人とする。

まず、会社を作ろう。後で書くのだけど、現金の盗難に対応するための保険に入るには法人を作る必要があるのだ。会社設立freeeによれば、207,000円から会社設立ができるようだ。たぶんその207,000円でできるのは株式会社ではなく合同会社だと思うが、まあ問題ないだろう。

そして、両替する硬貨を用意するための現金が必要だ。私には貯蓄がほとんどない。なのでまず借金する必要がある。

誰から借りるかだが、東京ビッグサイトのある江東区から借りることを考えよう。ほとんどの地方自治体は、自分の地域の産業振興のために、中小企業向けに特に低利で事業資金を貸してくれる。江東区では、1250万円まで貸してくれるようだ。利率は年利1.2%。1250万円制限いっぱいまで、一週間借りると仮定しよう。そんなに短い期間の融資なんてしてくれるのかわからないけど、とりあえず理想的に考えてみる。その場合、利息の金額は2,876円だ。
トップページ/生活情報/産業・しごと/融資/小規模企業特別資金融資(運転・設備・借換)
なお、これは江東区に事業主体があるか、区民の人でないと借りることはできないので実際には私は適用外だが、どの地方自治体も同じような条件で融資をしているので気にしないことにする。

次に、現金の盗難保険に入ろう。1250万円を盗まれ、一文無しになって借金だけ残ったら私の人生は大打撃だ。三井住友海上のマネー包括保険では、小売業の貨幣支払限度額500万円で年間保険料は5万円だ。1250万円で単純換算すると保険料は125,000円になる。なお、保険はたぶん年間契約でしか入れないと思うので、年間保険料で見積もる。
マネー包括保険 | 三井住友海上

そして1250万円を硬貨にする。計算を簡単にするために、全部500円玉にすることにしよう。みずほ銀行だと、両替手数料は1000枚ごとに540円だ。1250万円を500円玉にすると25000枚になるので、手数料は540円*25=13,500円だ。

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一般的に、大量の両替をすると上の写真のように、硬貨が50枚づつビニールで包まれて棒になったやつで受け取ることになる(上の写真は100円玉のやつだけど)。硬貨ロールと呼ぶそうだ。500円玉だったら1本50枚なので2万5000円分だ。これを500本受け取ることになる。

運搬についてだが、500円玉25000枚の重さを計算すると約157kgだ。たぶんキャスター付きのスーツケースに入れればなんとか電車でビッグサイトまで持っていけるだろう。電車賃は考えないことにする。

ああ、コミケそのものへの参加料を忘れていた。コミケへの参加料は、企業としての参加だとマチマチのようだ。あんまり参考にならないかもしれないけど、ネット上でウワサされている出展料は最低20万円くらいらしい。個人として出展すれば8000円くらいで済むようだが、もし個人として出展してしまうと、さっき書いた現金の盗難保険が効かなくなってしまう。そのリスクは、私は臆病なので犯すことができない。

ここまでの費用の総計は548,376円だ。これを回収するためにはどういう値付けをすればいいだろうか。

さっき、硬貨ロールを500本受け取ることになる、と書いた。この硬貨ロールを500本全部売り切るとして、費用を回収しようとすると、1本あたり1096円のコストを乗せる必要がある。つまり、額面25,000円の硬貨ロールを26,096円で売って、やっとコストを回収できることになる。お客さんから見れば、50枚の硬貨の両替に1096円だ。これをどう思うかは人によるだろうが、こうした裏の計算を知らなければ、かなりガメツイと思われる金額ではないだろうか。たかが両替だろ、と。

しかも、これは損益ギリギリだ。これでは商売にならないし、安全マージンもない。私だったら、1096円の2倍のコストを乗せたい。そうすると乗せるのは1本あたり2192円だ。そんで端数を切って27,000円。額面25,000円の硬貨ロールを27,000円で売る。これが、私が商売として両替商を営むための最低の販売価格だ。

なお、ここまで読んだ人はわかってると思うが、上記の計算には自分の人件費は入ってない。まあ、自分一人でやる事業にはよくある話。

最低限のコストは・・・?

ただ、この計算では全ての費用を一回のコミケで回収しようとしている。もし数回にわたって両替商を営んで利益を得ようとするなら、もうちょっとコストダウンできる。

548,376円のうち、初期費用は会社設立の207,000円。あと盗難保険の125,000円は年間保険料なので、コミケが年間2回あることを考慮すれば一回あたりの保険料は62,500円だ。つまり、コミケ向け両替商を数年にわたって営むのなら、限界利益的に考えれば、一回あたりのコストは278,876円だ。これを硬貨ロール500本で割ると、1本あたりのコストは557円だ。これは、どこをどうやってもこれを割り込んだら損が出てしまう、利益度外視でボランティアのつもりでやったとしてもかかると思われるコストだ。将来、もしコミケに両替商が出現したら、この金額を少し思い出して欲しい。

そういうわけで、もし私がコミケで両替商をやるとしたら500円50枚の硬貨ロール一本あたり27,000円の計算で売ります。でも、50枚の両替に2000円取ることになるわけで、きっと後ろ指を指される雰囲気になるだろうな。

付随コンテンツで儲けるという手もある

あと、たぶんコミケに両替商が出現したら、それなりに話題を集めるだろう。なので、両替商を営みつつ、その両替の様子を本にして売り、それで儲けるという手もありそうだ。コミケで両替商を運営したら、人と人との交流が生まれる。しかも、サークル側は基本的に小銭がなくて切迫して困っているわけだ。そこには物語性があり、良いコンテンツの土壌となる気もする。それなら、両替そのものは額面そのままで両替しつつ、コストを本で捻出できるかもしれない。そうなったらみんなハッピーだ。ただ、商売としてはちょっと危険な橋を渡ることになるけど。私ならやらない。面白そうだけど。

そんなわけで、コミケに両替商が出現しない理由が、計算したらわかりました。やっても儲からないからだ。世の中うまくいかないなあ。

–2015.07.19追記 ここから —–
せっかくなので銀行の両替機を使ってみました。
銀行の両替機を使ってみた
–2015.07.19追記 ここまで —-

–2015.07.16追記 ここから —–
法人税7万円が抜けてるよとご指摘を頂きました。しかもその指摘してくれた方はTwitter4J作者の山本裕介さん。わお、うれしい。

ご指摘は全くその通りで、完全に私の頭から抜け落ちていました。法人は、利益を上げていなくても、人頭税的に法人1つあたり年間7万円は必ず支払う必要があります。そのコストが上記計算には入っていません。1回のコミケで硬貨ロールを500本、年間1000本売るとすると、硬貨ロール一本あたり70円のコストがかかる計算になります。各自、頭の中で補正をお願い致します。
–2015.07.16追記 ここまで —–


売掛金を即現金化する(ファクタリング)