財務会計から管理会計に流す給与データ、流さない給与データで書いたように、出向者給与は、出向先の給与システムでは管理されないのが普通です。その主な理由を挙げます。

1.請求書は経理部に集中させたい

「出向者給与」は、出向先の会社にとって給与の勘定科目ではありますが、出向先の会社から請求書が来て、出向元の会社に支払います。出向者は、直接的には出向元会社から給与を受け取ります。給与でありながら、請求書が絡むわけです。支払先の銀行口座は、その請求書に書いてある出向元会社の銀行口座です。

つまり、給与システムで出向者給与を扱うなら、出向者給与の請求書は人事部に送る必要があります。しかし、通常は請求書と名のつくものは全て経理部に集中させているはずです。「出向者分の請求書だけは人事部に回して!」と言っても、そのルールが社内に定着しないかもしれません。

このように、給与システムから出向者給与を除外すれば、請求書のフローを簡素でわかりやすい状態に保てるのです。

2.FBデータ(ファームバンキングデータ)を手修正したくない

通常、給与システムからはFBデータ(ファームバンキングデータ)を出力できます。FBデータとは、銀行のウェブサイトにアップロードすることで、多数の銀行口座への振込を指示できるテキストファイルです。

このFBデータは、当然全社員分を出力するわけですが、出向者給与は請求書払いで経理部から指示して支払うので、出向者分の給与はこのFBデータから除外しなければなりません。その除外を給与システムが機能として持っていれば良いのですが、もしその機能を持っていないと、出力したFBデータをメモ帳か何かでテキストベースで修正する必要があります。銀行に直接投げるデータを手修正するわけで、その修正作業はかなり緊張を伴うものになります。そんな作業は誰もやりたくないでしょうし、また、コンプライアンス上の問題もあるでしょう。

システムによっては、社員毎に、FBデータを出力するかどうかを指示できるものもあります。でも、結局それもFBデータを操作する事と同じなので、メモ帳で修正するのよりはマシですが、やはりあまりやりたくない作業です。それを専門としている経理部にやって欲しい作業と言えるわけで、だったら素直に給与システムからは除外して財務会計システムから払えば良いじゃんって話になります。

3.総務系システムとの整合性を取りたい

社員をデータベース化しているシステムは、給与システムの他にも、出退勤時間管理システムや保有資格管理システム等、複数ある可能性があります。それらの周辺システムの仕様により、DB化する対象から出向社員を除外している場合もあり、それらと社員マスタを共有するような場合は、どうしても出向社員だけは給与システムに乗せたい、という希望が通らない可能性があります。

というように、様々な理由があり、出向者給与は出向先の給与システムでは管理されない場合が多いのです。


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