交際費関連の言葉で、「渡し切り交際費」という言葉があります。これについて説明しましょう。

渡した後に確認しない「交際費」

渡し切り交際費とは、接待に使う費用等を社員に渡し、支払いの証明を求めない費用のことです。つまり、領収書を経理に提出しなくていいんです。そのような費用の支給の仕方を「渡し切り交際費」と呼びます。

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「ま~ま~、これをお使い下さい!」

領収書を必要としない費用。それって貰い得じゃんって思う人も多いと思いますが、営業の現場では必要になることもあります。私は以前不動産会社の経理をしていたのですが、よくこの渡し切り交際費の処理を経験しました。

どんな時に使うかというと、取引先を接待した後に帰るとき。終電が終わった後まで接待をすると当然タクシーで帰ることになりますよね。でも、接待するからには帰りのタクシー代を取引先に出させるわけにはいかない。帰りが結局タクシー代自腹じゃあ、取引先も接待に来てくれなくなっちゃいますもんね。なので、その接待相手の取引先の人が自宅に帰るためのタクシー代も、接待する側が持つことになります。

そうすると、接待が終わって帰るときにタクシー代を取引先に現金で渡すことになりますよね。タクシーで帰る場合、到着までいくらになるかはわかりません。でも、「後で領収書下さい!」って取引先にお願いするのはカッコ悪いし取引先に負担をかけるので接待に悪影響が出ます。

なので、取引先をタクシーに乗せる時に絶対にこれだけあれば間に合うだろうって金額を渡して、「ま~ま~、これをお使い下さい!」って言って帰すわけです。取引先はこれで一切負担なく帰れます。更にタクシー代を払って残りのお金はフトコロに入れられるのでそれも嬉しい。かなりグレーな感じがしますが、こういう接待は業界によってはよくやっているようです。

シチュエーション的にはそんな感じです。

「渡し切り交際費」は勘定科目ではない

ところで、「渡し切り交際費」は勘定科目ではありません(一般的には)。上記のようなシチュエーションのために接待を担当する営業さんに渡すお金は「渡し切り交際費」と呼びますが、勘定科目は別になります。じゃあ何を使うのかというと、「給与」です。交際費ではなく給与です。

え、なんで給与なのよと思う方は多いと思いますので少し説明します。この渡し切り交際費って、会社としては用途の説明を一切求めずに社員に渡すお金です。社員に渡すお金で、用途の説明を一切しなくていいお金。それって、給与以外に選択肢がないですよね。他の勘定科目の費用ではほぼ必ず領収書が必要ですから。なので、会社としては給与とみなして支払わざるを得ないわけです。

社員個人としては損

また、これは個人の収入としても給与としてみなされます。つまり、社員個人の確定申告上でも給与所得になるんです。いわゆる普通の給料の他に、この渡し切り交際費も給料としてみなされて所得が計算されます。そうなると社員にとっては損です。実態としては、この渡し切り交際費は接待をする営業さんとしては右から左に流れていくだけのお金です。しかし、税務上の所得が大きくなって個人として課税される税金が多くなります。

社員個人として得がある可能性としては、この社員が出来高制で給料が上がる形になっていて、個人の成績を上げるためにこの渡し切り交際費での接待が有効に活用できている場合です。そのような場合は、社員個人としても渡し切り交際費があれば取引先と良好な関係を築きやすいので嬉しい、となるかもしれません。

ま、ない方がいいよね

この渡し切り交際費、今も生き残ってるんですかね?私が経験した会社は、不動産業界の会社で、時期は6~8年前。株式上場を目指してコンプライアンスにうるさい中で渡し切り交際費を支給していました。コンプラって言った途端にこんな処理はダメってハナシになりそうなもんですが、不動産業界は接待が激しいイメージがあるのでまだそんな慣習があったのかもしれません。他の業界ではもうこんなのありえないかもしれませんね。


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