ビットコインの仕訳一覧(2015年5月時点)

ビットコイン購入の消費税に関する実務って記事を書きましたが、せっかくなのでビットコインの購入から売却、そして採掘についても仕訳を書いておきます。2015年5月時点の私の認識を書いたものです。

目次

ビットコインは法整備が追いついてない

この記事に書くのは、あくまでも「私の認識」です。「法的に正しい仕訳」ではありません。なぜなら、ビットコインは法整備が追いついていないので、ビットコインは法的にどんなものとして扱うのかが決まっていないからです。要するに、ビットコインの取引については何が「正しい仕訳」なのか、誰も知らないのです。何しろビットコインを定義する法律がないのでどうしようもないのです。

でも、法的定義が存在しない今でも、ビットコインは現実世界でそれなりの価値を持つものとして取引されています。例えば、会社が持っているお金でビットコインを買うことはできるわけです。ビットコインを買ったら当然現金が出て行くわけで、それを記録するための会計処理、つまり仕訳を切らざるを得ません。どんな仕訳を切ればいいでしょう。

ビットコイン売買の仕訳

イメージとしては、ビットコインは「単純な資産」みたいな感じで扱うしかないでしょう。有価証券みたいな、でも有価証券ほどかしこまったものではないような、そんな感じです。

ビットコインを買った時

ビットコインを買った時の仕訳はこんな感じになるでしょう。今はビットコインは1枚3万円くらいなのですが、これを1枚3万円で4枚、12万円分買ったことにしましょう。そうするとこんな感じ。

1.ビットコインを12万円分買った

借方 貸方
ビットコイン(資産) 120,000 / 現金 120,000

まず、現金が出て行ったんだから右側に現金が12万円来ますよね。それに対して左側、借方は資産科目の「ビットコイン」が12万円です。これだけ。

消費税はかからないものと思うしかない

なお、自民党の見解によるとビットコイン購入には消費税がかかるとのことですが、これはあくまでも一政党である自民党の見解であって政府見解ではないので、法的拘束力はありません。また、もしビットコインに消費税がかかるものと思うことにしても、消費税の原則として個人が非事業で売買するものには消費税はかからないので、消費税がかかる企業とのビットコイン取引と、消費税がかからない個人とのビットコイン取引が混ざってしまうともうお手上げです。一般的なビットコイン取引では取引相手が個人なのか企業なのかは判別不能なので、どうしようもありません。なので、後で法整備されて過年度修正の指示を受けることを覚悟の上で、とりあえず消費税はかからないものと思って仕訳を切るしかないと思います。前に書いたビットコイン購入の消費税に関する実務(2015年5月時点)を参照して下さい。

ビットコインが値上がった時の仕訳

そして、ビットコインを保有した状態でビットコインが値上がったとしましょう。そうすると、例えば売買目的有価証券なんかだと評価益を出しますよね。でも、ビットコインではそれはしません。というか、何しろ色んな説があって「これ!」って見解がないので、何もしないのが無難だろうという感覚です。大阪国税不服審判所次席国税審判官の土屋雅一さんという方が「ビットコインと税務」という論文を出しているのですが、この中でも、一言で言えば「ああでもない・・・こうでもない・・・」という感じでズバリと言い切る表現がありません。国税審判官の人の認識がこうなのですから、まあ、実務としてはスルーしといてもそんなにひどい目には遭わないでしょう。後で書きますが、ビットコインを売って実際に利益が出た時にきちんと利益額を認識して納税すれば最低限の処理はやっていると思ってもらえるだろうと思います。

ということで、例えば1枚3万円で買ったビットコインが1枚4万円になった場合の仕訳は、ナシです。

2.ビットコインが値上がって含み益が出た時の仕訳

借方 貸方
(仕訳なし)

ビットコインを売って売却益が出た時の仕訳

そして、ビットコインを売って売却益が出た時の仕訳はこちら。実際に値上って手元の現金が増えた場合。これは国税庁としてもボンヤリと「法整備がまだだからなあ~」とか呑気なこと言わずに税金をふんだくりに来ると思われます。なのでキッチリと利益を認識して納税しましょう。12万円で買ったビットコインが16万円に値上がった状態で売った場合の仕訳はこれ。

3.値上がったビットコインを売った時の仕訳

借方 貸方
現金 160,000 / ビットコイン 120,000
ビットコイン売却益 40,000

ビットコインは、さっき書いた通り、評価益・評価損を出さないのが現時点では普通だと思われますので、貸方に来るビットコインの金額は買った時と同じ12万円です。そして、貸方には「ビットコイン売却益」として4万円を立てます。そんで、入ってくる現金を借方に書けばOK。たぶんね。

ビットコイン採掘の仕訳

そして、ビットコインは売買だけでなく、採掘することもできます。まるで無から有を生み出すがごとく、コンピュータに演算させることによって採掘することができるのです。

但し、現状ではビットコインの採掘は素人さんが手を出すのは危険なようです。ちょこっと検索した限りでは「ちょっとやってみたけど電気代分損した」みたいな結果ばかりです。

で、ビットコイン採掘の仕訳。さっき出した「ビットコインと税務」の論文では、

「研究開発費に係る会計基準による市場販売目的のソフトウェアの評価方法に準じて、採掘に要した費用(人件費、採掘のためのコンピュータの減価償却費、インターネット接続費用、電力料金等)を合理的に見積もって、これを取得価額として採掘したビットコインの簿価とする方法も考えられる。」

という記述があります。つまりは、その採掘した時点のビットコインの相場がいくらであろうとも、採掘に必要とした費用を取得価額として計上しようということです。

例えば、ビットコイン1枚の採掘に人件費が1万円、電気代が1万円かかり、それらを支払ったとしましょう。そして、その時のビットコインの相場が1枚3万円であったとします。その場合、ビットコイン採掘の仕訳はこれです。

4.ビットコインを1枚採掘した

借方 貸方
ビットコイン 20,000 / 現金 20,000

結局、「ビットコインの相場は1枚3万円」という情報はココには関係なく、採掘にかかった費用がそのまんまビットコインになったように仕訳を切ります。

それで、これを売る時に売却益が出れば、その売った時に3.の仕訳のように「ビットコイン売却益」を立てて利益を認識します。

ビットコインでモノを買った時の仕訳

そしてもう一つ。ビットコインは、創設者(?)の意図としては「新たな通貨」としての性格を持たせることを目標にしているようです。その意図の通り、「通貨」として使用されたとしましょう。その場合、「ビットコインと税務」の論文では「物々交換として扱う」というようなことが書いてあります。

例えば、ビットコインで3万円のパソコンを買ったとしましょう。その場合、こんな仕訳になります。

5.ビットコインでパソコンを買った

借方 貸方
消耗品 30,000 / ビットコイン 32,400
仮払消費税 2,400

物々交換の仕訳ってちょっと難しいですよね。なので、取引の間に現金を記入してわかりやすくしましょう。こんな感じ。

6.ビットコインでパソコンを買った 考え方

借方 貸方
現金 32,400 / ビットコイン 32,400
パソコン 30,000 / 現金 32,400
仮払消費税 2,400

ビットコインでのモノの購入の場合、厄介なのが消費税の扱いです。今回の場合、パソコンの購入には消費税が発生するのが明らかですが、それに対して渡すビットコインに対して消費税が発生するのかどうかが明らかではありません。今回は消費税がかからないものとして仕訳を作っています。

まあ、参考まで

という感じで仕訳を書いてみましたが、とにかく私は一介の会計SEでしかなく、ここに書いてあることは信頼性は全くありません。でも現時点では頼りにできる法制もないわけで、こういう感じにしか考えられないんじゃないかな??というところを書いています。まあ、参考までということでよろしく!!

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