消費税増税により原価率は下降圧力がかかる
消費税増税が間近に迫ってきましたが、これにより生産の現場にも大きな影響があります。それは、原価率の下降圧力がかかることです。
端数価格を死守したい
小売業の場合、普通は端数価格を死守したいと思うはずです。端数価格とは、「980円」とか「9980円」みたいな、大台のちょっと手前の価格のこと。980円と1000円では売れ行きに大きな差が出ると信じられているようです(私はマーケティングの知識は皆無なので、どの程度信頼性のある論かはよく知りませんが)。
これまで、980円で売るものであれば実際に店に入る収入は
980円 * (100 / 105) ≒ 933円 ←ア
消費税は
980円 * (5/ 105) ≒ 47円 ←イ
でした。
この状態から消費税が5%から8%に変わったとすれば、理想的には下記のように、消費税の増税分をそのまま価格に転嫁させて1,008円で売りたいところです。
933円 * (108 / 100) ≒ 1,008円(うち、消費税は75円)
しかし、果たしてお客さんは1,008円の値札が付いたモノを買うだろうか?という問題が出てきます。最初に書いたマーケティングの基礎を信じるなら、本来は1,008円で売りたいものでも、何とか頑張って980円にしないとなかなか売れづらいということになります。
そのため、消費税増税前で980円で売られていたものについて、増税後でも980円で売り続けるという決断をする企業は多数あるでしょう。8%になっても980円で売るとすれば、店の収入と消費税額は下記のようになります。
店の収入は
980円 * (100 / 108) ≒ 907円 ←ウ
消費税は
980円 * (8/ 108) ≒ 73円 ←エ
アとウを比較すれば一目瞭然ですが、店の取り分は、消費税増税の前後で、933円から907円に26円分減っています。この26円分をどうにかして吸収しなきゃならないわけで、その手段として真っ先に上がるのが原価の圧縮です。
衣料品であればちょっと縫い目を粗くするとか、食料品であればちょっと中身を減らすとか、そういう対応が避けられないことになるでしょう。
このブログでは会計周辺のことを中心に書いていますが、消費増税で生産現場もいろいろ大変になりそうだよねって話でした。増税って大変だね。