「消費税法第28条第1項及び第29条並びに地方税法第72条の82及び第72条の83の規定」とは何のことか

契約書の中に、「消費税法第28条第1項及び第29条並びに地方税法第72条の82及び第72条の83の規定」という記述が存在することがあります。というか、おそらく大抵の契約書にはこの記述が存在します。これって何のことでしょう。

目次

消費税率のことだよ!!

「消費税法第28条第1項及び第29条並びに地方税法第72条の82及び第72条の83の規定」という文字の並びをよく読むと、これらの税法の条文を指していることがわかります。

  • 消費税法第28条第1項
  • 消費税法第29条
  • 地方税法第72条の82
  • 地方税法第72条の83

これらを順に見てみましょう。

消費税法第28条第1項

消費税法第28条第1項の条文を引用するとこのようになります。

課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとする。以下この項及び次項において同じ。)とする。ただし、法人が資産を第四条第四項第二号に規定する役員に譲渡した場合において、その対価の額が当該譲渡の時における当該資産の価額に比し著しく低いときは、その価額に相当する金額をその対価の額とみなす。
消費税法第二十八条

・・・何を言ってるのかわからない方が大半だと思いますが、これは「課税標準」について定義している条文です。要するに、売るモノの値段を「課税標準」と呼びますよ、と宣言しているのです。課税標準とは、例えば缶ジュースを100円で買って消費税が5円で合計105円支払った場合は、100円の部分のことを指しています。

消費税法第29条

次に、消費税法第29条。

消費税の税率は、百分の四とする。
消費税法第二十九条

これは簡単ですね。消費税の税率は百分の四、つまり4%です(これを書いている2014年1月16日現在は)。

え、消費税率って5%じゃんって思うかもしれませんが、消費税率の「5%」は、厳密に言うと「消費税4%」と「地方消費税1%」を合計して5%になっています。なので、「消費税」は4%なのです。

地方税法第72条の82

地方税法第72条の82。引用すると次のようになります。

地方消費税については、第二十条の四の二第一項の規定にかかわらず、消費税額を課税標準額とする。
地方税法第七十二条の八十二

これも読んだままです。「第二十条の四の二第一項の規定にかかわらず」ってのは興味がある方だけ読めば良いです。大雑把なとこだけ理解したい人はスルーしときましょう。で、この条文の意味するところはそのまんま。地方消費税は、上の項目で書いた狭い意味での消費税額を基準に決めますよ、ということです。

地方税法第72条の83

最後に地方税法第72条の83。

地方消費税の税率は、百分の二十五とする。
地方税法第七十二条の八十二

はい出ました。地方消費税の税率は百分の二十五。つまり25%です。

え、そんなに税率高いわけないじゃんとお思いの方は、上の地方税法第72条の82を思い出しましょう。地方消費税の額は、消費税の額を基準に決めると書いてありました。つまり、消費税の額の25%が地方消費税だということです。消費税率は4%なので、地方消費税を計算すると、その4%のうちの25%で1%。なので、消費税4%と地方消費税1%を合わせて、一般的に言う消費税率は5%です。

ということで、「消費税法第28条第1項及び第29条並びに地方税法第72条の82及び第72条の83の規定」とは、まとめ直して柔らかく書くと次のようになります。

  • 消費税法第28条第1項
    (狭い意味の)消費税を算出する時の基準には、モノやサービスの値段を使いますよ。
  • 消費税法第29条
    消費税の税率は4%ですよ。
  • 地方税法第72条の82
    地方消費税を算出する時の基準には、消費税額を使いますよ。
  • 地方税法第72条の83
    地方消費税の税率は25%ですよ。
    (課税標準である消費税の税率が4%なので、換算するとモノの値段の1%になります。)

つまりは、いわゆる消費税率は、モノの値段の5%になるってことです。

kk3

消費税増税後はどうなる?

消費税増税後はこの書き方を変えなきゃならんのか?と気になったので調べたのですが、よくわかりませんでした。もちろん、2014年4月1日で8%、2015年10月1日で10%になるということは決まっていますが、それが条文としてどのように表現されるのかは、まだきちんと公表されていないようです。決まってはいるのだろうと思うのですがねー。っつーか法律の条文の検索性が悪すぎなので見つけられなかったのかも。もうちょっと何とかならんのかこれは。

ただ、おそらく上に出てきた消費税法第29条の4%、地方税法第72条の83の25%が書き変わることになるのだろうと思います。表にするとこんな感じ。

~2014年3月31日 2014年4月1日~ 2015年10月1日~
(狭い意味の)消費税率
(消費税法第29条)
4.0% 6.3% 7.8%
地方消費税率
(地方税法第72条の83)
25%
(モノの値段に対しては1%)
63分の17
(モノの値段に対しては1.7%)
78分の22
(モノの値段に対しては2.2%)
合計 5.0% 8.0% 10.0%

そんなわけで、「消費税法第28条第1項及び第29条並びに地方税法第72条の82及び第72条の83の規定」というのは、単に消費税率のことを言っているだけです。ビビる必要無し!です。

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「消費税法第28条第1項及び第29条並びに地方税法第72条の82及び第72条の83の規定」とは何のことか” に対して2件のコメントがあります。

  1. より:

    表の合計が・・・・

    1. admin より:

      ご指摘ありがとうございます!修正しました!!

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