所有権移転ファイナンスリース(売買処理)の仕訳のすべて
所有権移転ファイナンスリースの仕訳を、買った時から簿価ゼロ円にするまで、すべて書いてみました!
なお、リース条件としては毎月の支払が12万円で期間は60ヵ月、利率は年5%を仮定しました。この条件での様々な数値を算出した表は既に作成していますので、そちらを参照しながらこの記事を読み進めて下さい。
目次
全体的な考え方
ファイナンスリースは、借りたモノの所有権は民法上としてはリース会社にありますが、会計上は「お金を借りて買った」ように仕訳を切ります。実質的に契約を途中でやめられない条件が付いていたりするので、結局それと同じような状況になるからです。
リース開始時
リースを開始した時。まず、「お金を借りて買った」仕訳を切ります。
借方 | 貸方 | |||
リース資産 | 5,850,174 | / | リース債務 | 6,358,884 |
仮払消費税 | 508,710 |
上記仕訳には現金や預金が登場しないので「買った」ということがあまりピンと来ない方もいるかもしれません。その場合は、下記の2つの仕訳が合わさった仕訳なのだと考えれば理解できるかも。リース債務を借り入れて現金を調達し、その現金でリース資産を買った、というのを一つづつの仕訳で書くとこうなります。この2つの仕訳を、現金を相殺して一緒にすると、最初に書いた仕訳になります。
借方 | 貸方 | |||
現金 | 6,358,884 | / | リース債務 | 6,358,884 |
借方 | 貸方 | |||
リース資産 | 5,850,174 | / | 現金 | 6,358,884 |
仮払消費税 | 508,710 |
また、リース債務がなぜ「6,358,884円」なのかを不思議に思う方もいると思います。慣れていない方は、「毎月の支払が12万円 * 期間は60ヵ月 = 720万円」なんじゃないの?って思いますよね。でも違います。なぜなら、このファイナンスリースではあくまでも「お金を借りて買った」とみなしているので、毎月の支払の12万円のうち一部は利息として処理するからです。
毎月の処理
毎月の処理としては、支払と償却の二つの仕訳を切る必要があります。
支払の仕訳
各月の元本と利息の表を見ながら読んで下さい。1ヵ月目は、支払金額が120,000円、返済元本が93,505円、利息が26,495円になっていますね。仕訳はこのようになります。これは、通常の借入金の支払いの仕訳と同じ形です。
借方 | 貸方 | |||
リース債務 | 93,505 | / | 預金 | 120,000 |
支払利息 | 26,495 |
また、次の月になると支払総額のうち、利息の割合が減っていきます。前の月の支払いで、借入元本が減っているためです。2ヵ月目はこんな金額になります。
借方 | 貸方 | |||
リース債務 | 93,894 | / | 預金 | 120,000 |
支払利息 | 26,106 |
3ヶ月目はこう。
借方 | 貸方 | |||
リース債務 | 94,285 | / | 預金 | 120,000 |
支払利息 | 25,715 |
こんな感じで毎月、債務を返していきます。60ヶ月目はこうです。
借方 | 貸方 | |||
リース債務 | 119,502 | / | 預金 | 120,000 |
支払利息 | 498 |
この60ヶ月目の仕訳を切った時点で、リース債務はゼロになります。
償却の仕訳
償却の仕訳に関しては、それぞれの会社で定められている、固定資産償却のルールに従うことになります。今回は耐用年数10年・定額法を仮定して金額を算出しました。
借方 | 貸方 | |||
リース資産減価償却費 | 48,751 | / | リース資産減価償却累計額 | 48,751 |
上記の仕訳で、残存価額ゼロ円まで償却したら一連の処理は完了です。